山陽日日新聞社ロゴ 2011年8月3日(水)
宮島学が取材調査
向島町岩子島、厳島神社「管弦祭」
 幻想的な「平安絵巻」
  提灯がきらめき、優雅な調べ
海を行く御座船
鯨島神社でお囃子を奉納する
 栄えある地域伝統文化功労団体に選ぱれた向島
町岩子島、厳島神社「管絃祭」が31日夜催された。
岩子島海水浴場沖合で御座船、伴走船の提灯がゆ
らめき、幽玄な雅楽の調べが響き、幻想的な平安
絵巻が繰り広げられた。対岸から、待ち構えたよ
うにプロ、アマの力メラマンが幻想絵巻にシャッ
ターを切っていた。
 岩子島民俗伝統保存会(三阪博幸会長)主催の
祭りで、復活して16年目を迎えた。
 広島護国神社に務める永山宗忠宮司が管絃船の
巡航の安全祈願をした後、午後6時過ぎ、西の筆
景山の端に夕日が沈みかけると、松明を焚いた、
柴燈(さいとう)木船を先頭に御神体の天秤を乗
せ大提灯を飾り付けた御座船、その後に伴走船2
隻が、岩子島海水浴場のシンボル、大鳥居前から
出発。塩釜神社沖合の尾道水道をゆっくりと旋回
した。
 岡本英明大組長らが鯨島に上陸し、頂上の海の
守り神「鯨島神社」に御神酒を供え、海運の隆盛
を祈った。
 夜の帳が降り、辺りが暗闇に包まれると、鯨島
から岩子島海水浴場に御座船など4隻が戻った。
鉦、太鼓、笛による「チャンギリ」、「笙の笛」
の雅楽の調べにのり、大鳥居の前の海面をゆっく
りと旋回、4隻の提灯船が海上でゆらめく幻想的
シルエットは、平安絵巻を彷彿させ、訪れた観衆
を魅了した。
 大鳥居前に御座船が着くと、永山宮司が出迎え
の神事を執り行った。この後、別の小型の天秤が
登場し、リズミカルな天秤太鼓のお囃子に乗りな
がら、伝統保存会や子ども会のメンバーが四方の
縄を引っ張り天秤を動かし、厳島神社を回り、奉
納した。
 御座船の一団は再び出航し、管弦の調べに合わ
せ、ゆったりと沖合の海上を回った。
 岩子島厳島神社は一説では安芸の宮島より古い
神社だとも伝えられ、江戸時代寛永9年(1632)
に再建された記録が残っている。祭りは宮島の管
絃祭の流れを汲んでいる。
 この日の管絃祭では、県立広島大学人間文化学
部・宮島学センター助教の大知徳子さんが調査研
究で取材に訪れ、尾道学研究会の林良司さんが同
行した。
 大知さんは「瀬戸内海に多くの管絃祭が執り行
われています。安芸の厳島神社の管絃祭との比較
研究を行っており、岩子島は第一弾として調査に
来ました」という。
【写真】=(上)鯨島沖を吻く御座船、(下)鯨
島頂上部に祀られる鯨島神社でのお囃子(笙笛)
奉納。



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