山陽日日新聞社ロゴ 2011年4月9日(土)
尾道鉄道資料集
オノテツ間もなく到着致します...
 多角的に尾道鉄道を復元
  思い出持ち寄りで今回も市民参加型
昭和32年 尾道鉄道三成駅
 昨年度から着々と進められて来た尾道学研究会
(天野安治会長)による「尾道鉄道」の資料集制
作が年度末に無事完了し、予定通り4月下旬には
書店の店頭に並ぶ事になった。
 『タイムスリップレール・オノテツ−尾道鉄道
データ・ファイル−』と題した同資料集は、A4
版160頁フルカラーで、開業当初に会社が発行
した沿線案内図(パンフ)に始まり、オノテツの
雄姿を記録する写真集「オノテツ寫真舘」、開業
から廃線までの経過を辿る歴史概説、ゆかりの品
々を図録スタイルに紹介する「オノテツ・ミュー
ジアム」、トンネルや橋脚跡などを紹介する「沿
線遺構を辿る」などなど、多角的に尾道鉄道を復
元している。
 そして何と言っても目を見張るのが、副題にも
なっているデータ・ファイル編で、初期型から最
後の型式まで、電車の変遷をオリジナルの図面で
一車両ずつ細かく紹介しており、この辺りは対市
民的というより、鉄道ファン(鉄ちゃん・鉄子さ
ん)には堪らないものになっているようだ。
 後半では、既報の第4号トンネル(木ノ庄町末
政)の調査報告、物流の面から見た尾道鉄道とそ
の周辺についてなどの各論から、本紙でも一部掲
載した市民から寄せられた思い出話、更には当時
の新聞記事から関連記事をピックアップした「オ
ノテツ記事スクラップ帖」と、この一冊でオノテ
ツの1から10までが分かるものに..という趣旨に
沿って、かなり充実した内容に仕上がっている。
 とりわけ市民(一部市外・県外在住の尾道出身
者)から寄せられたオノテツ・エピソードが本書
の隠れた目玉といえ、市民も巻き込んでのスタイ
ルは、尾道絵葉書発掘の取り組みに続くもので、
市民参加型こそ地域学の王道といえる。
 基礎基本となる年表は、鉄道史学会の長船友則
さん(広島市在)の作成になり、「オノテツのみ
ならず当地方の交通史をも概観出来るものだ..」
と天野会長を唸らせており、年表一つとっても価
値あるものになっているとの事。
 以上の本体に付加して、本書の監修役であった
故・前田六二さんの労作『消えた鐵路 尾道鐵道』
から主体部分を採録しており、序文では、若かり
し運転士時代の前田さんの写真も掲載されている
(本書のみ)。同書は前田さんの自費出版になる
非売品で、既に入手が出来ない事もあってこちら
も貴重なものといえる。
 よい子のフロクとして、尾道鉄道デキ11型のペ
ーパークラフトが一枚付いて定価¥1890円(税込)。
因みにこの値段は『尾道..セピア色の記憶』第一
集と同額設定。
 印刷経費とその内容度からすると、安売りでは
ないかという声も一部に上がったが、印刷経費の
一部が平成22年度尾道市市民提案事業からの助成
という事もあり、より多くの市民の手に届きやす
いようにと、2千円を超えない設定となった。
 4月20日(水)に開かれる尾道学研究会新年度
総会+オノテツ例会で公式発表され、その後、市
内の啓文社各店と花本書店で取り扱う。
 本紙では、市民からの思い出話をシリーズで紹
介したが、次回より本書収録の中身を「立ち読み」
スタイルに幾つかご紹介して行きます。

啓文社 楽天ショップでも購入できます
(このリンクは2011.5.30現在のもの)
品切れの場合は直接啓文社にお問い合わせ下さい



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