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2009年11月27日(金) 光原百合さん 「イオニアの風」に次ぎ立て続けに出版 「扉守〜潮ノ道の旅人」 尾道を舞台にしたファンタジー |
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「十八の夏」で第55回日本推理作家協会賞(短 編部門)を受賞した尾道大学文学部准教授、光原 百合さんが尾道を舞台にしたファンタジー連作短 編集「扉守〜潮ノ道の旅人」を文藷春秋から発刊 した。尾道の日常生活や三山の風景、街並み、路 地などが忠実に描かれ、親しみが感じられる尾道 市民にとって待望の一冊が出版された。光原さん は「この町を思い浮かべて読んでいただければ幸 いです」と話していた。 06年から09年にオール讀物、小説現代に掲載さ れた「帰去来の井戸」「天の音、地の声」、「扉 守」、「桜絵師」、「写想家」、「旅の編み人」、 「ピアニシモより小さな祈り」の7つの短編小説 を「潮ノ道ファンタジー」シリーズとして一冊の 本にまとめ発行した。 舞台となる潮ノ道は尾道で、古い館が立ち入ら れるのを拒否したり、大人しい女子高校生が突然、 はっきりと自己主張するようになったり、尾道に 住む住人が次々に不可思議な現象に見舞われる。 そのミステリーを解き明かすのが街の世話役的存 在である僧侶、了斎が招き入れた、不思議な霊力 を持つ魔法使いで、人の怨念を吸い取るカメラマ ンだったり、もつれた愛情をほどく編み物作家だ ったり、魔法使いの活躍と彼らに振り回される地 元の人々が織りなす姿をペーソスあふれる筆致で 描かれている。 光原さんはあとがきで「瀬戸内沿岸の町・潮ノ 道を巡る不思議な物語をお届けします。おそらく 多くの方がお気づきのとおり、潮の道は作者自身 の故郷・尾道をモデルにしています。風景や街並 みの様子はかなり忠実になぞっていますので、数 々の名作映画の舞台としても有名なこの町を思い 浮かべて読んでいただければ幸いです。私にとっ ては、こんな人たちがいるといいな、と思わずに はいられない、愛着のある物語ばかりです(「扉 守」の話に出てくるアレだけは、ちょっと怖いけ ど)。読者の皆様にもそう思っていただけるとい いのですが」と述べている。 定価は税込みで1600円。市内の啓文社で発売す る。 光原さんは98年、「時計を忘れて森に行こう」 で小説デビュー、02年「十八の夏」で日本推理作 家協会賞(短編部門)を受賞、「十八の夏」はT BSでテレビドラマ化された。「銀の犬」、「星 月夜の夢ものがたり」、「最後の願い」など発行。 今年8月、ギリシア神話を舞台にした書き下ろし 長編「イオニアの風」を出版、それに「扉守〜潮 ノ道の旅」と立て続けに発刊、創作活動に脂が乗 っている。「潮ノ道ファンタジー」はこれからも 続けていき、2作目も出版したいという。 |