2009年11月1日(日)
ガラス乾板から甦るありし日の尾道...
 住吉浜の銀行浜界隈
  家並みの内に偕楽座の大屋根も
尾道の海岸の写真
 30日付け本紙一面において、元・盛文館書店々
主の射場昭人さんから尾道学研究会へ寄贈され、
このほど現像及びデジタル保存作業が始まった貴
重なガラス乾板をご紹介したが、これだけでは些
か物足りないと思われるので、同会の尾道絵葉書
発掘プロジェクト(天野安治総監修)から、レポ
ートを以下寄せてもらった。
 ■住吉浜界隈(上)=岸本渡しの位置から住吉
浜一帯を切り撮ったもので、尾道絵葉書の「港内
風景」に近い写真だが、船の様相からして別のモ
ノの様である(一枚撮るのに数日かけているもの
もあると射場さんの証言)。西端から順に浜の倉
庫群(○に縦二本線の店印が見える)、海へ向い
た旧態の住吉さん、今のロイヤルホテル辺りにも
横長の倉庫らしき建物が見える。
 その裏手にのぞくタワー状の柱には「大阪商船」
の文字が確認でき、大阪商船の荷客を取り扱った
豊田回漕店のものの様だ(現在の豊田ビル)。
 隣接して見える真四角な白い建物は「荒神堂浜
派出所」で、現在の位置関係でいうと商工会議所
前の駐車場になる。全くの余談ながら、昭和38年
の祇園さんにおいて、荒くれ神輿が体当たりで突
進した事でも知られる交番。
 交番の西に建つ三階建ての建物は会議所(中央
桟橋)ビルの位置で、紙面上では拾えないが屋上
看板に、【ダイヤ味酪(ミリン)】【リボンシト
ロン】、その下に【ニシハマ旅館】(住吉浜は古
く西浜とも称した)、懸垂幕形式の看板には【各
方面行乗券取扱所】【汽船自動車客待合所】とあ
り、各航路を繋いだ桟橋の賑わいぶりを偲ばせる。
 ■銀行浜界隈(下)=銀行浜といっても今日で
は馴染み薄いものになってしまったが、現在の公
会堂周辺の海岸であり、銀行は隣接する米場町界
隈に林立した銀行群に因む。
 船が停泊している位置に並ぶ倉庫は、江戸時代
からの歴史を重ねる諸品の倉庫で(後に啓文社倉
庫)、この内の一つが映画資料館として今に遣る。
 紙面では確認困難だが、東端の海岸沿いに石材
の山が見え、今日同周辺に位置する大村石材店で
はないかと見られる。
 家並みの内に一際大きく見える寺の甕は、浄泉
寺の有名な大屋根である。そこから東南の位置に、
今一つ大きな屋根がのぞいているが、こちらは芝
居小屋「偕楽座」の建物で(後にセントラル映画
館〜共同福祉施設、現・尾道市教育会館)、屋根
からもその大きさが窺い知れる(正面に看板確認)。
 沖合に浮かぶ帆船が、のんびりとした長閑な時
代を感じさせる。
 尚、この写真は【(尾道名勝)尾道港銀行演附
近」絵葉書の原板である。



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