2009年8月2日(日)
市立美術館
尾道描いた近作29点、市に寄贈を
 一体となり新しい風に
  早川義孝さん「風航路」展始まる

 幻想的で叙情的な独自の作風で知られる日本を
代表する現代洋画家、早川義孝(ぎこう)さんの
作品展「風航路」が1日から、市立美術館で始ま
った。9月27日まで。
 早川さんは1936年東京生まれで、全日本学生油
絵コンクールで文部大臣賞を2年連続で受賞する
など青春期から頭角を現したが、武蔵野美術学校
在学中には授業に絶望して中退、不遇な時代を過
ごした。
 旧友の言葉に再び絵を描くようになり、1962年
に第6回「新槐樹社展」で内閣総理大臣賞や栄誉
賞を受賞、1989年フランス・パリの老舗画廊ギャ
ルリ・マルセル・ベルネイムでの個展などで、国
内外の評価がさらに高まった。昨年、早川さんは
市立瀬戸田小を訪れ児童(現5年生)と絵画を通
じて交流している。
 作品展は代表作の油彩「セプテンバーソング」
(1993年)や「リラ咲く村の夜」(97年)、
「アトリエの5月」(2001年)=写真の作品=な
どの他に、今展に合わせて尾道を題材に描いた作
品など90点を紹介する。
 うち尾道を描きおろした水彩「遠い日の組曲」、
アクリルグワッシュ「尾道に遊ぶ」、「風の舟う
た」、「春の祭典」など近作29点は、「尾道の文
化振興に役立ててほしい」と早川さんが尾道市に
寄贈、市立美術館に収蔵されることになった。
 美術評論家で絵のまち尾道四季展審査員、安井
収蔵さんらを来賓に迎えた開会式では、平谷祐宏
市長が「早川先生の絵は新しい風を感じる。思い
のままに描く独自の画風を楽しみにしてきた。早
川芸術を堪能し、絵を描く、見る、楽しむことを
改めて感じてほしい」とあいさつ。
 長く伸ばした頭髪がトレードマークの早川さん
は「作家は一所懸命に描くが、絵は観る人が主役、
そして展覧会を開いて下さる行政があって、それ
らが一体となって初めて『風』になるのだと思う。
私は一筆一筆重ねて描くことが、生きている証し。
後は(展示している)絵達が頑張ってくれるはず
なので、楽しんで頂きたい」と語った。
 瀬戸田小の児童2人が早川さんとの交流を詠ん
だ俳句を披露、花束を手渡し、早川さんは出席者
が見守るなか、作品展を記念する旗を即興で描い
ていった(=写真上)。
 テープカットで開幕を祝い、会場では自身によ
る作品解説、午後からは陶器カップヘの絵付け教
室も開かれた。今月29日には早川さんが中学生以
下を対象にした絵画教室、30日午後1時半からは
一般向けの特別講演会が開かれる。  [幾野伝]

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