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2009年4月12日(日) 江戸の豪商『栗田家文書』解読から 江戸時代の殿様御膳再現 三成発の歴史的な新尾道グルメに... |
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古文書解読でその力を発揮している尾道学研究 会の半田堅二さんが、尾道市立中央図書館書庫に 所蔵される地元豪商・栗田家の古文書(江戸期)を 解読した中から、尾道へ宿泊した大名を始めとす る当時のVIP一行に出された夕餉の献立が発見 され、このほど、その通称・殿様御膳の再現試食 会が三成の才原なごみ館で開かれた。 献立の文書をテキストに用いた三訪会の古文書 の会が主催し、地元の谷光千鳥さんと地区の保健 推進員・民生委員さんらが再現調理に挑んだ。 半田さんによる文書発掘レポートは次の通り。 『尾道市立中央図書館に所蔵してある、天神金 屋『栗田文書』を解読していましたら、誰が泊ま って何を食べたのかの記録が出てきました。内容 全部は出てきませんが、概略は次の通りです。 文久三年亥三月二十八日 太守様御帰被為遊二付 御泊り 献立左之通 かまぼこ 香たけ 花月 くわい 小角 玉子 れんこん さわら 砂鉢 さしみ みつ葉 わり云 丼 合さより せんまい さわら 大平 生湯波 夏かぶ 御膳 うお 鱠皿 大こん きくらけ 小角 坪 かまぼこ 生麩 きくらけ 宿泊客の名を拾うと、【長州様(毛利)】、 【太守様】、【若殿様】、【阿部主計頭様】、 【松平近江守様】、【彦根藩家老】、【松平大膳 太夫様】、【肥後様】などとあり、幕末の尾道に 泊まったVIP人物の一部が見えます。これも幕 末の歴史を研究しておられる方には貴重な資料と 思われます。誰かに見て貰いたいのですが、私に は方法が分からないのでそのままになっています。 その中で、我が藩の殿様が食された献立があっ たので、これを再現すれば歴史ある港町尾道の面 目躍如と思い、色々と旅館や食堂などに相談した のですが、材料が分かつても料理の仕方やお膳、 食器等、問題が沢山あり、相当な研究心がないと 実現出来ない事を知りました。それでそのままに なっていた所、三訪会事務局長の板原壽雄さんが 挑戦してみると話されたのでお渡ししました。再 現するに当たって大変なご苦労があった事と思い 頭が下がりますし、実現して大変嬉しいです』。 半田さんがレポートで述べている通り、食材し か分からないにも関わらず、研究を重ね、アレン ジを加えつつ往時の雰囲気を見事に再現していた (=写真)。 調理代表の谷光さんによると、調理前の諸準備 から数えると約1ヵ月を要したといい、また、再 現するにあたってのこだわりとして、現代的な化 学調味料などは一切使用せず、素材が持っている 味を十二分に引き出したものになっていた。 当日は半田さんと仲介役になった林良司さんが ゲストで招かれ、半田さんは「古文書が伝え残し た歴史ある殿様御膳−。ひと味違った新たな尾道 グルメになれば..」と、今後に期待を寄せていた。 |