2008年11月30日(日)
タイムスリップ・レール...尾道
 尾道鉄道間もなく発車
  当時の航空写真に戦前の映像公開
尾道鉄道 旧三成駅
 昭和39年を最後に姿を消した″オノテツ″こと
尾道鉄道−。尾道と御調の市を結び、上下を経て
やがては出雲へという壮大なプランで発車した今
は無き尾道鉄道の在った風景へ..と、「タイムス
リップーレール..尾鉄」と銘打った企画展が、本
通りのおのみち街かど文化館を会場に、尾道学研
究会(天野安治会長)と尾道市教委(文化振興課)
の主催により始まった。
 元尾鉄運転士で尾道学研究会会員の前田六二さ
んを主体に、各方面からの参加協力を得て、関係
者でしか持ち得ない運転士の制服や免許証から、
鉄道専用電話機に実際使用されていたレール、敷
設工事及び開業時の記録写真に昭和30年代の古写
真、沿線を記載した古地図、尾鉄関連ニュースを
報じる昭和20〜30年代の本紙記事等々、尾鉄に関
する各種資料が一堂に会している。
 中でも目をひくのが昭和37年の航空写真(国土
地理院国土変遷アーカイプ提供)で、尾道駅から
諸原間の沿線を上空から辿れる様になっている。
併設して、沿線に残された尾鉄遺構を巡る写真も
並ぶ(同尾学研会員の山中仁さんが企画展に先立
ち現地へ赴き撮影)。
 もう一つの目玉がタイムスリップームーピーthe
尾鉄コーナーで、昭和16年頃に御調の市村で制作
された、『輝く郷土』と題する貴重な映像がスク
リーンに映し出されており、この中に市駅と尾道
鉄道を観る事が出来る。
 珍しいものとしては、尾鉄の鉄道模型2車両が
おのみち歴史博物館より出品され、子供達の好評
を集めている。
 一角では、間もなく初の資料集出版を控えてい
る同会の尾道絵葉書発掘プロジェクトチーム(天
野安治総監修)によって、「絵葉書に見る鉄道風
景−尾道とその周辺」が併設されており、尾道以
外では福山駅、鞆鉄道、糸崎駅、呉市電、広島電
鉄など、どれもセピア色に染まったものばかり。
 事務局担当者は、「三訪会や歴史博物館といっ
た内輪のネットワークだけにとどまらず、今回は
実に多方面からの参加協力を頂きました。国土地
理院に始まり、関東で鉄道模型の専門店を営業さ
れている会社社長などから、資料提供を始め快い
ご協力を頂きました。こうした皆さんの力の結集
も、展示に秘められた見所です」と話している。
 また、会場では絵葉書の時に同じく、古写真を
始めとする尾道鉄道に関する各種資料、または尾
鉄の思い出話の持ち寄りも受付ている(無論、尾
鉄以外の尾道に関する古い史資料の持ち寄りもい
つも通り受付)。集積されたデータは、本展を機
に作成される「尾道鉄道データファイル」、及び
来年の開設に向けて準備中の尾道学研究会公式ホ
ームページ内のD&A(データベース&アーカイ
プス)へ保存される。
 12月24日までの会期で木曜休館。10時〜18時。
入館無料。
※写真=昭和32年、尾鉄での遠足風景・三成駅
(土本寿美氏撮影、三訪会発行『ふるさと三成』
掲載)。



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