2008年10月11日(土)
西國寺で観月能
 師匠梅若六郎氏と共演
  本番前稽古もゆかりの地で川口晃平さん
梅若さんと川口さん
西國寺
 日本芸術院会員で、観世流シテ方能楽師の56世
梅若六郎氏(1948年生まれ)を迎えての「尾道観
月能」が9日夜、西久保町真言宗西國寺(麻生章
雄住職)で開かれ、470人が秋の能を楽しんだ。
 尾道出身の漫画家かわぐちかいじさんの長男で、
大学在学中に能の芸術性の高さに魅了され梅若氏
に師事、内弟子として7年間修行、昨年12月に能
楽師として独立した川口晃平さん(1976年生まれ)
が出演、父親の古里でゆかりの地での初舞台とあ
って、早くから多くの関心を集めていた。
 主催は尾道・西國寺観月能実行委員会(石田克
彦委員長)で、NPO法人おのみちアートーコミ
ュニケーション(大崎義男理事長)が共催。国の
重要文化財・金堂(室町初期)が能舞台となり、
当日は早い時間から梅若氏が会場に入り、川口さ
んに本番前の稽古をつけていた(=写真上で右が
梅若六郎氏、左が川口晃平さん)。
 主催者は、同寺での初めての観月能とあって、
「境内全体を能の世界に相応しい空間にアートし
よう」と計画。昼過ぎから、広島大学建築設計学
の岡河貢研究室と広島大学能空間研究会の学生22
人が舞台や観客席の設営を開始。さらに尾道大学
美術学科の稲田全示・児玉康兵・高岡陽・田村禎
英の4研究室の学生20人が、参道をろうそくアー
卜で飾っていった。
 南の空に半月が顔を見せる夕暮れ6時半に開幕。
能の見せ場だけ、面を付けずに披露する仕舞で川
口さんが「敦盛」(=写真下)、同じくシテ方観
世流で毎年5月、浄土寺で開かれる尾道薪能の主
役吉田篤史さん(1974年生まれ)が「屋島」を演
じた。
 狂言「清水」では、NHKドラマで人気を集め
た茂山宗彦さんが太郎冠者をつとめ、会場からは
大きな笑いが起こっていた。
 梅若六郎氏による仕舞「景清」に続いて、メイ
ン演目の能「船弁慶」が上演され、シテの静御前・
平知盛を川口さんが演じ、地頭役で師匠の梅若氏
が共演した。
                  [幾野伝]



ニュース・メニューへ戻る