2008年8月21日(木)
『故郷での初舞台』
かわぐちかいじ氏の長男川口晃平氏
10月9日『尾道・西國寺観月能』
 五十六世梅若六郎氏に薪能古田篤史氏
ポスター
番組表
 「芸術と文化」のまち尾道に今秋、また一つの
ピッグイベントが加わった。重要無形文化総合指
定保持者で五十六世梅若六郎氏を招聘し、同師に
師事した尾道出身の漫画家かわぐちかいじ氏の長
男川口晃平さんの故郷での初舞台が、国の重文・
西國寺金堂を文字通り舞台として10月9日(木)
に『尾道・西國寺観月能』として催される。
 企画段階から中心だったNPO法人おのみちア
ート・コミュニケーションが共催し、主催は「尾
道・西國寺観月能」実行委員会(委員長=石田克
彦・市文化協会長)。
 開催にあたって市民はじめ近隣の愛好家に、次
のように趣旨を述べている。
 『このたびNPO法人おのみちアートーコミュ
ニケーションの共催を得て、西國寺の金堂(国重
文)を舞台に、観世流シテ方能楽師で重要無形文
化総合指定保持者の五十六世梅若六郎氏を招聘し
て、『尾道・西國寺観月能』を催すことになりま
した。
 室町初期に建立された真言宗醍醐派大本山西國
寺金堂の「造形の美」、鎌倉後期から室町初期に
完成をみた能の「幽玄の美」、この二つが融合す
る様は、まさに日本の美の究極といえるでしょう。
 日本の伝統芸術を代表する「能」。その能が浄
土寺阿弥陀堂(国重文)を舞台とした『薪能』で
尾に定着し、春を彩っています。これに秋の西國
寺金堂を舞台とした『観月能』が実現することで、
尾道の芸術文化性を一段と際立たせ、歴史都市・
尾道の決定的なイメージを創出することも可能と
なるのではないでしょうか。芸術を核としたまち
づくりは私たちの目指すところです。
 古都・尾道の秋の風情に満ちた舞台に、『能』
の世界では第一人者といわれる梅若六郎氏をはじ
め、今年で十七回を数え尾道に定着した浄土寺
『薪能』のシテをつとめる吉田篤史氏、梅若六郎
氏に師事され昨年独立された川口晃平氏など、多
くの素晴らしい方々をお迎えできることは、望外
の喜びであります。
 さらに川口氏は、尾道出身の漫画家かわぐちか
いじ氏のご長男であり、郷土が輩出した芸術家や
文化人の志が脈々と継承されていくことも、尾道
に潜在する強みであります。
 名刹を出れば坂の町が広がっています。日本の
伝統美とともに、尾道の日常の風景の豊かさもあ
わせて味わっていただければ幸いでございます』。
 10月9日(木)午後6時から開場、6時半の開
演。会場は西國寺金堂。後援は尾道市、県教委、
市教委、市文化協会。協力は真言宗醍醐派大本山
西國寺、広島大学能楽研究会、広島県建築士会。
 入場料はS席(指定席)1万円、A席(自由席)
8000円。尾道では啓文社福屋プックセンター、
なかた美術館、ビサンゼセッションのほか、三原・
福山・呉・東広島・廿日市・岡山の啓文社各店舗
とEメールなど通信販売も行っている(15日から)。
問い合わせはビサンゼセッションまで(0848-37-
5317)。
 なお、荒天の場合は会場を尾道市公会堂に変更
して行う。西國寺には駐車場がないため、他の交
通手段での来場を呼びかけている。
出演者のプロフィール
 [梅若六郎]観世流シテ能楽師、重要無形文化
総合指定保持者。人気、実力とも第一人者として活
躍。海外への能の紹介にも積極的で、ニューヨー
ク−パリ−オランダ−ロシアでも公演。
 昭和23年、55世梅若六郎氏の嫡男として生まれ
る。26年、「鞍馬天狗」で初舞台。54年、観世流
梅若家当主を継承。55年、芸術祭優秀。62年、芸
術選奨文部大臣賞。平成8年、観世寿夫記念法政
大学能楽賞。11年、読売演劇大賞優秀賞、日本芸
術院賞ほか受賞多数。18年、紫綬褒章受章。19年、
日本芸術院会員就任。
 [吉田篤史]昭和49年生まれ。幼少より京都・
井上嘉介師ほかに師事し三歳「鞍馬天狗」花見に
て初舞台。同志社大学在学中に井上師の内弟子と
して修行。平成13年に準職分を取得し独立。吉田
嘉謡社副社主として平成14年より京都で「花の能」、
尾道市で「尾道薪能」。京都・岐阜・広島三県と
東京に稽古場を持ち謡曲・仕舞の指導。毎年五月
の尾道薪能ではシテ(主役)を務め
ている。
 [川口晃平]シテ方観世流。昭和51年、かわぐち
かいじ氏の長男として生まれる。56世梅若六郎氏に
師事。平成13年、入門。同年初舞台復曲能「降魔」。
平成19年独立、能「石橋」を披く。



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