2008年8月8日(金)
小林和作像
 20年経て「安住の地」に
  長江口→一時保管→旧居→美術館へ
小林和作像
 たびたび設置場所が変わり、長年の課題でもあ
った「小林和作像」が、市立美術館の玄関そぱに
移設された(=写真)。
 生誕120年を記念して、現在美術館で開かれ
ている「小林和作 天地豊麗展」(既報)に合わ
せ、長江2丁目の和作旧居の庭から市教委文化振
興課が6月に移したもの。
 和作像は、尾道市名誉市民に選定された10年後
の1988年、尾道市文化協会と市商店街連合会が製
作、作者は原田町出身の彫刻家、矢形勇さん。左
手にスケッチブック、右手には絵筆を持つ立像で
高さ約2m、ブロンズ製。
 像は当初、長江口の児童公園の横に置かれたが、
当時市が「彫刻のある町づくり事業」を進めてお
り、他の作品も含めて「設置場所が相応しくない
−」という声が市民や関係者からあがっていた経
緯がある。
 公園が観光バス駐車場に変更されるため、2000
年夏から一時、陶芸家、金野光賀さん方で保管さ
れた。その後、長江に残る旧居が小林家から市に
寄贈され、庭が一般開放されるのに合わせて2003
年9月に再移動。そして今回、生誕120年展を
機に「より多くの人に見てもらいたい」と美術館
の玄関口に移設されたもの。
 「行政の都合で、彫刻があっちにこっちに移動
を繰り返すのは作品にとって不幸、作者にも失礼
なこと」と指摘する識者もおり、「もうこれで移
動はありません−」と担当者。
 昔の駅前ロータリーから千光寺公園の山の上へ
移り、結局、駅前に舞い戻って港湾緑地帯に落ち
着いた圓鍔勝三作「渚の女神」とともに、安住の
地を得たといえる。
                  [幾野伝]



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