2008年8月2日(土)
 尾道の今と昔の風景
  上野重治さんが郷愁を込め
上野さんと作品
 新浜1丁目、画廊喫茶あすなろで「上野重治尾
道風景画展」が開かれ、今昔の尾道風景が郷愁を
誘っている。
 広島光風会会員、日本美術家連盟会員、チャー
チル会会員、上野重治さんが油彩画、水彩画24点
を出品。
 郷愁を誘う作品は昭和40年代、元海上保安部跡
の土堂公民館が見え、終戦直後の海岸マーケット
の店舗が張り付き、江戸時代の石積みが残った
「尾道の雁木」。昭和から平成に変わった頃、全
国で尾道だけに残っていた日立造船向東工場の2
基のT型クレーンを描いた「水道の夕暮れ」、思
い入れも強く「T型クレーンが無くなると牛の角
2本が取れたようでアクセントのない風景になっ
た」と寂しがっていた。
 昭和の終わりの頃の瀬戸田町の「光明坊鈴虫松
虫塚」は土塀が崩れ、むき出しになった赤土がい
にしえの郷愁をたたえ、画題になった。今では土
塀は改修され白く塗り替えられている。鈴虫、松
虫は法然上人に随行して瀬戸田にやってきた皇室
の女性で得度して名前を鈴虫、松虫に変えたとい
う言い伝えがある。
 現在の尾道風景は廃止となった岸本渡船のフェ
リーが沖ゆく「尾道中央桟橋」や「西国寺仁王門」、
水道を望んだ「尾道の坂道」などお馴染みの風景
が展示されている。
 上野さんは「時代とともに風景は変わり、その
変遷を見つめながら描いています。自分の愛着の
あった風景がなくなるのは寂しいです」。港を描
いていて近年、変わったと思うのは漁船やプレジ
ャーポートに混じり、ヨットが停泊しており、港
の風景も時代の波を受けているという。
 今年の光風会で「尾道雪の日」で広島文化振興
財団賞に輝いた。
 上野さんの作品展は12日まで開かれ、土・日は
休み。

場所はこちらの「あ」



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