2008年7月10日(木) 祇園さん、故郷常称寺へ帰る... 139年ぶり神と仏の再会劇 今年の祇園祭は歴史的瞬間に |
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(既報)街かど文化館を会場に【祇園さんと時宗 常称寺】展が開催されているが、この企画展とも リンクして、12日(土)の尾道祇園祭で出る三体神 輿が、故郷である西久保町・時宗常称寺(川崎誠 住職)へ139年ぶりに里帰りを果たす。 企画展でも紹介されている通り、祇園さんは古 く常称寺の境内に祀られていたが(三体神輿も常 称寺から出ていた)、明治新政府による神仏分離 政策によって半ば強引に引き離された。以降、両 者の関係はプッツリ途絶えたまま今に至り、今日 ではそのゆかりを知る人も少なくなって来ている。 国道以南に取り残された常称寺大門(室町期の遺 構で昨年末に国の重要文化財指定)屋根には、神 輿にも付される一、二、三巴の祇園社の紋章が施 されており、そのゆかりをひっそりと伝える。 当日は午後6時、久保新開の八坂神社(通称、 明神さん)を出発、例年ならそこから三体が各町 内へ分かれるが、今年は揃って常称寺大門前(久 保本通りの元松本病院北側)へ集結。大門で出迎 える川崎住職に、佐々木智朗実行委員長兼統括責 任者(三体みこし保存会々長)が139年ぶりに 常称寺へ担ぎ入れる趣旨(国重文指定を寿ぎ、ま た大門修復を祇園の神が守護する)を口上形式に 奏上する。この後、川崎住職の先導の下、三体神 輿が一体ずつ大門をくぐり常称寺境内へ入る。 大門同様、国の重文に指定される本堂正面(扉 は全て開け放たれる)に三体神輿が並び置かれ、 ここで祇園の神が御本尊・阿弥陀如来と明治初年 以来の再会をする。併せて、既報の事前調査で判 明した常称寺に遺る古い祇園三祠が里帰りに合わ せて本尊前に特別に安置される。 川崎住職と市内・福山・三原の尾道門中の時宗 寺院僧侶が三体神輿(祇園神)へ「般若心経」を 読経し、神仏習合時代さながらの仏式による儀式 を執り行う。 その後、三体神輿は時宗僧侶による念仏(南無 阿弥陀仏)に見送られながら常称寺を出発し、そ れぞれの町内(久保、十四日・長江、土堂)へ分 かれて巡幸し、例年通り7時過ぎに渡し場の尾道 渡船前の廻し場へ向かう。 佐々木智朗統括責任者は、「今回の里帰り、ゆ かりの掘り起こしを一過性に終わらせる事なく、 既に沸き起こっている来年以降の交わり合いの継 続、そして常称寺と祇園さんのお力を拝借して、 久保地区活性化にも繋げていきたい」と、直前の 意気込みを語っている。 当日は大門及び境内周辺は混雑が予想され、ま た、国道と鉄道踏切をまたぐ為、警備担当者の指 示・誘導に従って、安全に見物して頂きます様に 宜しくお願いしますと、JC事務局では呼びかけ ている。境内での見物にあたっては、隣接するス ミレ幼稚園のご厚意により園庭を開放する他、人 出によっては本堂内も解放する予定だが、踏切傍 の観音堂(同様に国重文)縁側部分は建物の強度 が弱い為、こちらからの見物はご遠慮下さいとの 事。 前夜の11日(金)18時半より文化館東側の商議 所記念館にて、里帰り前夜祭を兼ねる尾道学研究 会例会が開かれ、歴史関係の掘り起こしと、昭和 58年JC制作の「八坂神社三体みこし永久保存に むけて」の記録映像が上映される。同映像中には、 浄土寺下での三体廻しを記録する貴重な白黒8ミ リ映像が収録されている。 |