2008年7月9日(水)
歌戸運航
尾道市の第3セクターを検証
 5年ぶりの黒字利用客上向く
  造船景気とガソリン代値上げで
フェリーを下りるトラック
 尾道市が関与する第3セクターの汽船会社は2
社あり、海事都市で連携している今治市の8社に
比べると少ない。向東町歌〜戸崎間を結ぶ歌戸運
航株式会社(佐藤忠男社長)と島嶼部の因島から
今治を結ぶ芸予観光フェリー株式会社(赤尾宣宏
社長)は共に地域住民に欠かせない公共交通手段
だが採算は赤字で苦しい運営を余儀なくされてい
る。特に芸予観光フェリーはしまなみ海道の開通
で乗客が減り、今後の存続が危ぶまれる状況にま
で至っている。
 海事都市の看板を掲げた尾道市にとって旅客運
送は重要な役割を担っている。まず歌戸運航株式
会社を検証してみる。
 向東町歌と尾道市の飛び地で陸の孤島、戸崎浦
崎を結ぶ歌戸航路は昭和29年、人だけを運ぶ寅さ
んの映画に出てくる矢切の渡しのような渡し船と
してスタートした。その後、バイク、自転車を載
せる木造船に変わり、しまなみ海道が開通する前
年、平成10年10月、車を積載するカーフェリーが
就航した。一時期、架橋構想が持ち上がっていた
がカーフェリー化で決着した。
 カーフェリー化に伴い歌戸運航株式会社を立ち
上、尾道市はフェリー2隻(400万円)を現物
出資、海運会社、商議所など計2000万円の資本金
で再出発をはかった。
 借り入れ金はなしの身軽な経営だが、この9年
間、黒字となったのは平成14年度と昨年度の2回
であとは赤字で累積欠損金は1227万円で資本金を
取り崩し、赤字分を補填、資本金は773万円に
目減りしている。
 昨年度決算は収入が1400万円に対して支出
が1373万円で27万円の経常利益で税引き後8万41
00円の純益を上げ5年振りの黒字となった。
 収入のうち運航収入は1241万円。利用者は1日
当たり164人で前年度に比べ12人増、自動車
も6台増え83台、バイク・自転車も2台増加の25
台と利用は増えた。
 「常石造船をはじめ戸崎浦崎の造船関連業者が
好況なこととガソリン代が値上がりして陸伝いよ
りフェリーが安くつき通勤の乗用車など利用が上
向いた」(槇原雅樹港湾振興課長)と黒字の要因
を上げた。フェリーの油代は一昨年が219万円
に対して昨年度は244万円で25万円の値上がり
で昨年度はまだ影響は少なかった。燃料代は今年
度、大きく響いてくるという。
 運航収入のほか桟橋使用料、駐車場収入などが
159万円入り寄与している。
 スタッフは5人の船長が交代で勤務、甲板員1
人の計6人。
 「経営的には楽ではないが地域の住民のニーズ
がある限り航路は存続、幸いに利用者は伸ぴてお
り、今後も期待できる」(槇原課長)と5年振り
の黒字に気を良くしていた。
 明日は芸予観光フェリーの現状を報告する。

場所はこちら



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