2008年7月6日(日)
水尾町『水祭り』
 町内会熱意で復活20回の節目に
  19日「ブリ市」など水細工舞台を
魚市のミニチュア
尊氏と吉和踊り
 平成が始まった1989年に町内会の熱意で復活し
た尾道水尾町(久保1丁目)、熊野神社の『水祭
り』が19日(土)、繰り広げられる。今年は20年
の節目となるが、住民の減少や高齢化などから、
「来年以降どうするのかは考えることになるが、
出来る限りは続けていきたい−」と話している。
                 [幾野伝]

 「水祭り」は江戸中期の1711年、熊野神社が祀
られたことに端を発し、現在のような細工人形を
登場させる水からくりの舞台が作られ始めたのは、
現在も一部家屋に見られる遺構などから、明治の
初めではないかと伝えられている。
 太平洋戦争が勃発した1941(昭和16)年を最後
に途絶えて以来、46年間祭りは開かれていなかっ
たが、当時を知る市民らから、「昔、水尾町には
水祭りがあって懐かしい。またやってもらえない
か−」という声が寄せられていたこともあって、
4、5年の準備期間を経て1989(平成元)年7月、
水尾町町内会が主催し復活させた。
 20数年前にはまだ、途絶える前の祭りの様子や
仕掛けを良く知る住民、木工や仕立ての職人も町
内に健在だったこともあり、意見や技術を参考に
試行錯誤しながら準備したという。
 毎年、尾道の歴史や日本の政治・社会などをテ
ーマに、水細工の舞台を6、7場面製作し、町内
の通りと神社内の井戸「水尾井」で披露している。
木や粘土で作った人形の指先などから勢い良く水
が飛ばされ、その水がどこから供給されているの
か、仕掛けがどう見ても分からないのが魅力で、
尾道の代表的な夏祭りの1つとして、市内外から
多くの家族連れなどが訪れている。
 今年の祭りは19日(土)で夕方5時から神事、
順次始まる。舞台は7場面用意。市制施行110周
年を記念して1.西南の役の始まりを知らせる電報
2.江戸中期、住吉浜や築地浜での「プリ市」=写
真上=3.山口玄洞翁による久山田水源地の完成4.
千光寺公園のNHK放送局5.二木半左衛門翁によ
る千光寺山の動物園。ほかに6.水芸の一座7.大河
ドラマ篤姫となる。3.の玄洞翁は第4回の水祭り
でも取り上げ、「水源地の建設現場」を再現した
ことがあり、今回はそのパート2になる。13日に
は総出で神社境内を清掃する。
 復活した19年前と比べて、町内の世帯数は14→
12でほとんど変わりないが、住民の高齢化(他界)
や若者の流出などから、祭りの担い手が少なくな
っている現実がある。「今年の20回で区切りとす
るのか続けていくか、続けていくにはどういう形
が良いのか。いずれにしても来年以降のことは、
町内でよく話し合っていくことになるが、出来る
だけ続けていきたい気持ちはある」と、復活した
祭りを中心で支えている今川吉弘さんは話してい
る。
 今年の祭りが終わった後に、記念誌を編纂する。
写真などで復活後の歩みを振り返りながら、途絶
える前の祭りを知る人から話しを聞き、思い出な
どを寄稿してもらう予定。

熊野神社の場所はこちらの「く」



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