2008年6月15日(日)
大林宣彦監督
 『70歳の新人』で挑戦を
  新作映画《その日のまえに》制作
 大林宣彦監督が2年振りとなる新作映画《その
日のまえに》を制作、14日未明にクランクアップ
し、無事撮影を終えた。『死と寄り添い、生きる』
ことをテーマにした作品で、古稀を過ぎた監督は
「70歳になったからこそ、新しく挑戦出来ること
があるー」と製作の手応えを語っている。
                 [幾野伝]

 《その日のまえに》は直木賞作家、重松清さん
(45)の同名小説(文藝春秋刊)が原作。突如、
余命1年を告げられた40代の妻と夫、家族の姿を
描く。その日とは=最期の日の意で、「その日の
まえ」をどう生き、「その日」をどう迎えるのか、
そして「その日のあと」をどう生きていくのか?
「切なくも美しい愛の物語」。
 脚本は市川森一さん、撮影台本が大林監督と南
柱根さん、映画音楽が山下康介さんと學草太郎さ
ん。プロデューサーは監督夫人の大林恭子さんら。
 まだ寒い時期に秋田での冬景色の撮影からスタ
ートし、本格的には先月3日にクランクイン。都
内の下町をはじめ千葉、茨城、神奈川、長野など
で40日間にわたってロケーションを行った。
 「台風が来たり、季節外れの寒風や雨もあった
りで、理想的な天候のなか、2月の映画舞台を再
現出来た」と先月の撮影途中で語っていた監督。
「私も、『初めて70歳』になったからこそ出来る
新人としての挑戦もあり、創造の失敗を恐れぬ覚
悟を鼓舞しつつ、映画の歴史と可能性に挑んでみ
ました」とクランクアップを目前に話していた。
※重松清=岡山県久米町(現在津山市)の生まれ。
角川書店の編集者を経てフリーライターとしてド
ラマや映画のノベライズ、雑誌記者、ゴーストラ
イターなどをした。学校での子供のいじめや登校
拒否、家族崩壊など現代社会の問題を小説に取り
込んで一気に注目されるようになった。
 1999年『ナイフ』が坪田譲治文学賞、同年『エ
イジ』が山本周五郎賞、2000年『ビタミンF』で
直木賞受賞。これまでに『疾走』や『愛妻日記』、
『卒業』、『いとしのヒナゴン』などが映画化さ
れている。『その日のまえに』は2005年8月発売、
第3回「本屋大賞」にノミネートされた。大林監
督とは2005年1月、NHK総合の特別番組「映像
の戦後60年」で初めて顔を合わせた。



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