2008年6月1日(日)
芙美子ウィーク
 多面的に考察する月に
  文学記念室や図書館、文化館で
展示の様子
資料展示
 尾道で青春時代を過ごしたゆかりの作家、林芙
美子(1903〜51年)の祥月命日が今月28日である
ことから、記念行事の第23回「芙美子ウィーク」
が各方面で繰り広げられる。
 文学フェア実行委員会は31日から東土堂町、文
学記念室で特別展を開催(29日まで)。記念室が
譲り受け所有する写真パネル18点を展示し、尾道
では初めて披露されるものもある。
 3歳頃の芙美子をはじめ、尾道市立高等女学校
の級友と写ったもの(1920年)▽尾道から上京後
に売り子や事務員、カフェの女給など職を転々と
していた頃(1924年)▽尾道を舞台にした「風琴
と魚の町」を執筆した頃(1931年)▽壷井栄とと
もに江田島海軍兵学校を訪ねた後、尾道で恩師小
林正雄、今井篤三郎、級友に歓迎を受けた時(19
42年)▽養子の泰君と朝食を食べる日常の風景
(1951年)など、48年間の芙美子の人生が断片的
に伝わってくる写真が並ぶ。
 記念室では、生前暮らした東京・新宿中井の自
宅書斎を再現し自筆原稿や愛用の品などを常設、
期間中は著作品なども展示している(=写真下)。
 尾道学研究会が主催する「アジサイノ季節、フ
ミコト出会ウ」が本通り中商店街のおのみち街か
ど文化館で聞かれている。29日まで。
 まちかど尾道学ミュージアムの一環で、『フミ
コと芙美子』の著者、池田康子さんが今年も手作
りのパネルで作家林芙美子の魅力に迫っている
(=写真上)。
 「芙美子に関しては、全て恋愛、色恋沙汰に絡
めて面白ろおかしく話しが広がってしまうが、あ
くまでも小説は空想の世界。本当のところはどう
だったのだろうか」と語る池田さん。そこで、芙
美子という人間と作品をより深く考察することを
ライフワークにしており、今回は「ふみこの源流
をたずねて」のテーマで持論を展開している。
 例えば代表作『放浪記』のヒントになったと言
われるノーベル賞作家、ノルウェーのクヌート・
ハムスンの小説『飢え』については、恋人にこの
本を見せてもらったのがきっかけになったという
説を否定する。「女学校時代に今井篤三郎氏の自
宅で読んだのが自然の流れ。芙美子の没後20年の
時の同氏の手記にも出てくるので−」と分析して
みせている。
 他の芙美子ウィークの行事は次のとおり。
[林芙美子命日にちなむ上映会]28日午後2時か
ら、市立中央図書館視聴覚ホールで『浮雲』(成
瀬巳喜男監督)。無料。
[林芙美子と無頼派展]中央図書館展示コーナー
で関連図書の展示。29日まで。
[あじさいき]29日午前11時から、芙美子像を囲
んで。土堂小児童の合唱、あじさいの花の献花な
ど。問い合わせは東洋堂スポーツ店豊田さん(tel
22-3905)へ。
[こどもとおとなのおはなし会]29日午後1時か
ら、中央図書館視聴覚ホールで。問い合わせは堀
さん(tel 47-3632)へ。

文学記念室(おのみち文学の館)、おのみち街かど文化館、
尾道市中央図書館の場所はこちら


ちなみに東京新宿区中井の林芙美子記念館でも
林芙美子旧居内の特別公開や講演などがあります。
詳しくは公式ページ



ニュース・メニューへ戻る