2008年5月20日(火)
御袖天満宮
 拝殿屋根130年振り修復成就を
  「奉国祭」で長江住民ら完成祝う
御袖天満宮
 菅原道真公ゆかりの長江一丁目、御袖天満宮
(菅隆仁宮司)で18日、130年振りとなる拝殿
の屋根葺き替え工事の終了を祝う神事「奉告祭」
が営まれた。関係者は「長年の課題だった屋根が
無事修復され、一安心した」と完成を喜び合った。
                 [幾野伝]

 大林宣彦監督の映画《転校生》の撮影地にもな
った境内の「五十五段の石段」を登りきった正面
に建つ拝殿(江戸中期の建造)は、前回明治の初
め(年月日は不明)に大改修が行われ、すでに
130年近くが経過。1973年、拝殿後方に隣接す
る当時檜皮葺きだった本殿が不慮の火災で全焼
(10年後に再建)、その時の消火放水の影響が長
年あり、さらに4、5年前に相次いだ大型台風の
風雨を強く受けて、傷みや雨漏りがひどくなり、
屋根にビニールシートを覆うなどして急場を凌い
でいた。
 氏子による総代会(島居勝総代長)や世話係を
中心に、拝殿屋根修復委員会(高橋貞昭委員長)
を組織して工事を計画。ある程度の資金を調達し
てスタートする予定だったが、「このままだとさ
らに状態が悪くなり、倒壊の危険も出てくる」と
の専門家の診断を受けて、急きょ取り掛かった。
 元廣建築設計事務所の設計、葉名組の施行で20
06年9月から着工、社殿全体を包む仮の屋彬と足
場が架けられ大掛かりな工事になった。半解体し
ていく過程で見つかった屋根の下地板や垂木など
の傷んだ箇所を地元産の松材で全面改修、薄茶色
の石州瓦約3000枚を葺き替えた。今年2月に完成
した。
 総事業費2700万円は地元住民らの寄進で賄われ、
1枚3000円で呼ぴかけた瓦寄進には市民や観光客
ら393人が協力した。
 工事の無事完成を神に報告し祝う「奉告祭」に
は、関係者や地元から100人が出席し、石森啓
司総代の司会で神事が進められた。菅宮司が「長
年心配、苦慮してきたが皆様のお陰です」と謝辞
を述べた。
 島居総代長は経過について簡単に触れながら、
「準備期間もなく、急きょ工事に取り掛かったた
め資金的な不安もあったが、当初予定していた25
00万円を大きく上回り2700万円、人数にして1100
人を越える方々から協力頂いた。お陰さまで、工
事の途中で見つかった激しく傷んだ箇所も全て直
すことができた」と感謝の言葉を繰り返した。
 続く直会(なおらい)では、参会者らに樽酒が
振る舞われた。
 この日も、ロケ地巡りをする旅人やグループが
時折立ち寄り、興味深そうに神事を見学していく
姿が見られた。
 今年の天神祭は7月18日から20日、本祭が25日
にあり、修復された拝殿前の石段では神輿の勇壮
な昇り降りが披露される。



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