2008年5月13日(火)
 薪能と狂言で伝統文化
  雨にも拘わらず800人楽しむ
舞台の様子
 尾道の初夏を代表する行事として人気がある第
17回「尾道薪能」が10日夜、東久保町の真言宗浄
土寺境内で開かれた。雨が降り続いて肌寒かった
にも拘わらず、例年と変わらない約800人が来
場し、日本の伝統文化を堪能した。
 国重要文化財の阿弥陀堂を舞台に、観客席には
テントが設けられた。尾道足利氏ゆかりの会の村
上隆会長と、薪能実行委員会の堀田克介委員長が
主催者あいさつ。
 演者のシテ方観世流準職分で重要無形文化財保
持者の吉田潔司さん(66)=京都府=が能の歴史
について触れながら、「800年も永々と続いて
いる日本の文化なので、言葉は分かりにくいかも
知れないが、見て頂ければ何となく雰囲気は感じ
てもらえるはず」と語り、主演目の能「巻絹」の
謡の一節を解説し、全員で復唱した。
 茂山千之丞さんと茂山千三郎さんによる狂言
「因幡堂」(=写真)に続き、吉田さんが能のク
ライマックスだけ披露する仕舞「羽衣」で雰囲気
を盛り上げた。
 能「巻絹」を吉田さんの長男で同じく観世流シ
テ方の吉田篤史さん(34)らが演じた。雨で筒火
に火は灯されなかったが、観客は鼓や笛の音にあ
わせた優美な舞いに見入っていた。
 潔司さんは久保小での能の授業を開いて5年目、
篤史さんは市内小学校の京都への修学旅行で能舞
台を見学案内するなど、能文化の伝承に力を入れ
ている。              [幾野伝]



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