2008年4月10日(木) ロダン、石川さん 昔懐かしいSP盤の「尾の道小唄」 歌謡史で綴る「港尾道」 戦前は大毎、啓文社が自費で発売 |
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戦前、港祭りで踊られていた昔懐かしい「尾の 道小唄」、「尾道音頭」、「小唄尾道港囃し」の SP盤を久保2丁目、ロダン貝の店経営、石川晶 一さん(75)が所有している。旅情あふれる尾道 をテーマにした、いわゆる御当地ソングは幾多あ り、改めて整理してみたい。 20世紀「尾道乃記録」をまとめ、歌謡史に造詣 が深かった平櫛資正さんの資料によると戦前、レ コード化された尾道の御当地ソングは昭和3年、 山田耕筰を招いて発表した野口雨情選歌、中山晋 平作曲と当時、日本歌謡界の大御所による「尾道 小唄」が最初で歌ったのは浅草紅香。続いて昭和 9年、藤本二三吉が歌った「尾道音頭」、松平晃 の「みなと尾道」、虎龍の「新小唄尾道港囃し」、 11年は藤山一郎の「尾道市歌」、12年の霧島昇の 「尾道港メロディ」と続く。 制作した年月日が判明しないが戦前、作られた と思われるレコードとして瀬川伸・浅草紅香の 「観光尾道ぱやし」、「尾道よしこの」が載せら れている。 石川さんが老舗のレコード店で購入した「尾の 道小唄」は平櫛さんの資料には出てこないが大き なSP盤で歌詞も添えられ、作曲は「尾道小唄」 の中山晋平、作詞は不明で唄は尾の道新地検、小 鈴・友菊、三絃がお染め・益良と尾道の花柳界の 芸達者が吹き込んでいる。「尾道小唄と歌詞はそ っくりで尾の道小唄の方が先に発表されたのでは ないでしょうか。誰かこの尾の道小唄について知 っている方がいれば教えてください」(石川さん) と呼びかけていた。尾道小唄は戦後、再び島倉千 代子によってレコード化され脚光を浴びた。 昭和9年に発売された松平晃の「みなと尾道」 は大毎(現在毎日新聞)尾道通信部と大毎専売所 啓文社選がレコードに刻まれ、尾道で自費出版さ れたことがうかがえる。啓文社の創業が昭和6年 でその3年後にレコードを発売している。ちなみ に作詞は公募した伊藤省三さんで佐藤惣之助が補 作している。また虎龍の「新小唄尾道港囃し」も 大毎尾道通信部懸賞募集一等選歌で作詞は木下潤 さん。御当地ソングに対する観光尾道の意気込み が伝わってくる。 戦後に入るとこれでもかと言うほど港尾道は歌 われ、昭和37年に岡義夫の「瀬戸内の人」、守屋 浩・五月みどりの「新尾道音頭」、38年は尾道市 出身の平田夕子の「巡航の人」、「あなたに故郷 の潮風を」、40年はフランク永井がしまなみ海道 架橋を歌った「でっかい夢」、41年はヒットした 北島三郎の「尾道の女」、44年は和田弘とマヒナ・ スターズの「瀬戸の夕月」、57年は向島町出身の 水野ゆきの「尾道で逢いたい」、平成4年は尾道 出身の長沢ひとみの「尾道ごころ」、そして平成 12年に水森かおりの「尾道水道」と続いている。 対岸の向島町は昭和45年に三浦洸一の「向島音頭」 と藤本二三吉の「向島小唄」が発売されている。 尾道を唄った歌は沢山あり、紹介した曲のほか まだ沢山漏れており、更に合併した御調町、因島、 瀬戸田町を含め戦前からの御当地ソングなれば膨 大なものになる。 石川さんは「尾道に関する歌についてレコード を持っていたり、情報を知っている人がいれば一 報していただければ幸いです」と話していた。 詳しくは石川さん(電話37・3895)まで。 [写真は戦前に発売された今では珍しいSP盤 の「尾の道小唄、尾道音頭、小唄尾道港囃し(左 から)] |