2008年4月6日(日)
小林和作常設室も
 平谷市長「想い受け継ぎ運営」
  新白樺美術館でプレ生誕120年展
テープカット
展示の様子
 尾道市と市立美術館が主催、尾道大学が共催す
る「小林和作特別展」が5日、久保3丁目の尾道
白樺美術館で始まった。今年度から尾道大学が本
格的に利活用する同美術館の一室に、和作の常設
展示室が設けられることになった。 [幾野伝]

 絵のまち尾道の基礎を作り、美術振興に力を注
いだゆかりの洋画家で市名誉市民の小林和作
(1888〜1974年)の生誕120年を記念し、市制
施行110周年の行事として企画した。
 市立美術館が所蔵する約300点ある和作作品
の中から、油彩「カプリ島」(1928年)、「秋郊
(松永)」(1934年)、水彩「岩子島を望む」、
「尾道向島」など38点を選んで並べた(=写真下)。
常設展示室には紹介パネルや和作の石膏像、ゆか
りの品を展示した。
 初日午前10時からのオープニング式には、市と
大学、尾道美術協会などの関係者70人が出席。平
谷祐宏市長が「尾道の個性である芸術文化の土壌
は、和作先生が育まれた大きな財産で、絵のまち
の礎を築かれた偉業を偲び、広く顕彰することは
感動の芸術文化都市へ向けた大きな力になる」と
あいさつし、リニューアルした白樺美術館につい
ては「美術館建設に関わられた多くの方の想いを
受け継ぎながら市民に愛される美術館として運営
していきたい」と語った。
 和作忌協賛会の石田克彦会長が「小林先生の2
つの特色をあげるとすれぱ、独特で強烈な個性と
豊富な色彩・構図だと思う。それは先生の人生そ
のものから出てきたといえる。日本画から洋画の
道へ変わり、白樺派の特に梅原龍三郎、中川一政
などの影響を受けた。ヨーロッパでも勉強された
が、東洋的な個性が強い方だったので、日本に帰
り、尾道に来られて40年、絵を描く方法、美を追
い求める姿も堂々とした自己流だった」と振り返
った。さらに「今の日本美術界は冷えた状況にあ
り、中央展の高齢化やヨーロッパ風の絵が多い。
先生はあくまでも日本の海や山の自然の美しさを
追究された。こういう時代だからこそ和作先生の
美に対する心を学んでいくべきではないか」と語
った。
 井上文伸市議長が加わって常設室の前でテープ
カットした(=写真上)。
 市立美術館では今後、常設室で個人所有の和作
作品も紹介していきたい考えで、「作品を見て頂
くことで、個人で持っておられる方への出品参加
の呼び掛けにもつながれば」と話している。
 会期は20日までの12日間で、午前10時から午後
6時まで。入場は無料。火曜と水曜日は休み。
 市立美術館では8月1日〜9月28日に改めて生
誕120周年を記念しての特別展を開き、所蔵品
にあわせて他の美術館の名品を集めて紹介するこ
とになっている。

場所はこちらの「お」



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