2008年4月1日(火)
しまなみフェリー
新設の「交通対策課」の初仕事に
 4月末で運航を止める
  利用者減、原油等コスト高、将来性
桟橋のしまなみフェリー
運航を止める告知の貼られた料金表
 尾道市役所の西隣りに桟橋がある「しまなみフ
ェリー」が4月いっぱいで運航を廃止することに
なった。25年3月末の「尾道大橋無料化」と
「生活者・市民の足を守る」という観点と、原油
高騰・少子高齢社会の進行の中で、4月1日から
スタートする尾道市の「交通対策課」は、想定内
とはいえ大きな″初仕事″を抱え込んだことにな
る。

 尾道市港湾振興課の話しでは、しまなみフェリ
ー(宮本豊社長)から市に相談があったのは2月
ごろで、採算性や将来性などから「このまま運航
を続けるのは難しい」との話しだったという。
 代替航路がない場合は、廃止の届け出をしても
6か月の運航が義務づけられているが、しまなみ
フェリーの場合は西側の渡場で″兄弟会社″の尾
道渡船(宮本隆幸社長)が運航しており、かつ一
昨年の秋、3か月半にわたって浮き桟橋が沈没し
た際に、利用者が尾道渡船などを利用した″実績
″がある。
 3月27日付けで、中国運輸局がしまなみフェ
リーからの届け出を受理しており、この場合、1
か月程度の運航ということで4月末には、しまな
みフェリーが廃止されることになると市では説明
している。
 桟橋沈没後、市が斡旋して県のポンツーンを借
り、尾道側に市営桟橋を設置し、それをしまなみ
フェリーが使用料を払って利用するという形態を
一昨年の暮れから採ってきた。
 市では、県との契約は3年(以後、更新する内
容のもの)であり、当面、しまなみフェリーが運
航を止めても現状のまま推移をみつめるという姿
勢。
 この間、尾道市でも同航路を″応援″するため、
今年度から尾道大橋通行券をしまなみフェリーの
運航券に切り換え、尾道〜向島間の公用車につい
ては同航路を支援してきたと井上総務課長は説明
している。
 今後、新しく経営したいという企業・人があら
われるかどうかだが、現状と将来展望の中で、そ
の可能性は低い。
 また、尾道渡船との″三角運航″などのアイデ
アや、朝夕のラッシュ時を中心とした「限定運航」
等(本紙3月12日付けの「山陽余韻」参照)の考
え方などがどうなるか。
 尾道市では、市交通局の廃止(三セク化)とし
まなみ海道と同延伸道路の料金問題、それに尾道
大橋無料化と渡船問題などを見据え、今回の市の
機構改革で新たに「交通対策課」を設置。きょう
4月1日から始動することになっている。
 少子高齢化による利用者の減と、高齢者など社
会的弱者は逆にフェリーなどへの依存度が高まる
という大きな矛盾。5年後に大橋が無料化されれ
ばますます車の利用は減り、しかも原油などコス
ト面の圧迫は強まる一方という『現状と将来展望
が拓けない』なかで、経営の「体質改善」や「小
型化」(も資金を必要とする)の行き詰まり、限
界を示したのが今回の一件とすれば、『市民・生
活者の視点』で、どこまで行政が関与すべきかは
頭の痛い問題。
 大橋無料化とフェリーの問題が、5年前倒しで
提起されたとみることもできる。
 当面、周辺や利用客ら住民の動向に、桟橋沈没
時には議会も一定の動きをしたため、これらの動
向を見定めるということになろう。



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