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2008年3月15日(土) 開館少し延期 『尾道映画館』夢は続く 市民募金 大半が個人名で1200万円越える |
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元日に起きた火事で、保管していた映写機材や 音響機器が焼失、さらに建物の構造上の課題も浮 上し、予定していた「尾道映画館」の今春のオー プンを延期したNPO法人「シネマ尾道」(河本 清順代表理事)。巷では「もう活動を止めるので は?」という噂まで出ているが、「映画館再興へ の思いを新たに再スタートさせ、1日も早い開館 を目指したい」とこれまでと変わらない意欲で活 動していく決意を語っている。 [幾野伝] 「尾道は映画(ロケ)の町でありながら、映画 館がないのは寂しい−」と河本清順さんが中心に なって市民団体「尾道に映画館をつくる会」を設 立。しまなみ交流館などで映画上映会を重ね、各 地の地域に根ざした小さな映画館を視察、アドバ イスを受けながら、「100席ほどの、地域コミ ュニティの場となる映画館の再建」を目標に掲げ 活動している。 2006年10月にNPO法人「シネマ尾道」を設立、 尾道駅前(東御所町)の元映画館・尾道松竹の建 物を借りて、今年春のオープンを目指して改装準 備を進めてきた。昨年8月からは、再建資金の調 達のために「尾道シネマ基金」を立ち上げ、これ までの半年間に1200万円を越える寄付が集まって いる。 昨年10月には、岡山県玉野市で5ヶ月前に閉館 した映画館から中古の映写機材を購入。さらに大 林宣彦監督の夫人で、映画プロデューサーの大林 恭子さんから紹介された大阪市の映像専門家、細 田義一さん・博久さん親子にスクリーンについて 相談、保管していた映写機も含めて現場を2回見 てもらい、スクリーンの設計図製作に取り掛かっ ていた矢先で災禍に見舞われた。 さらに再活用する建物の構造が現法令に適さず、 避難経路や消防設備などの改装が必要なことが判 明し、今年春の予定だったオープンを延期した。 改装については、建築士など関係者と設計図の 見直し作業を行い、現在最終調整している段階。 また県内の映画館で組織する「広島県興行生活衛 生同業組合」(理事長=蔵本順子・サロンシネマ 社長)に晴れて加盟するなど、着々と準備してい る。映写機も新たに大阪の映画館から購入するめ どが立ち、スピーカーとアンプは京都の映画館か ら無償で譲り受けた。 シネマ基金にはこれまでに、個人150人から 1030万円、50の企業・団体から180万円の合わ せて1200万円を越える募金が寄せられている。そ の大半を一般の市民が個人で寄付、わずか1000円 から最高240万円の人もおり、「企業経営者の 方に大金を出してもらうというやり方ではなく、 より多くの市民の方に協力頂きたい。結果、自分 の映画館という思いにも繋がってくるのでは」と 代表理事の河本さん(=写真)。 今年春めオープンが出来なかったことから、希 望者には寄付金の返還を受付けたことが災いし、 この話題だけが一人歩きした結果、「活動を止め るのでは?」という噂にも繋がった。しかし、こ れまでに返金を求めてきたのはわずか5人の5万 円に止まっているという。逆に、窮状を憂い2度 目の募金をする人も現れ、目標にしている2000万 円を目指して資金集めも佳境にさしかかる。 来月には、市内企業家10人ほどによる「シネマ 尾道をサポートする会」も立ち上がる予定で、河 本さんは「これまでしまなみ交流館などで続けて いる上映会が大きな力になっています。映画を通 じた人との繋がりを大切にし、賛同頂いている全 ての皆様の気持ちを胸に新たな気持ちで再スター トしています。1日でも早いオープンを目指して 活動を継続していますので、ご支援とご協力をお 願いします」と呼び掛けている。 16日には、しまなみ交流館で15回目となる上映 会『長い散歩』を開く。午前10時半からと午後1 時半からの2回上映で、俳優で監督の奥田瑛二さ んをゲストに舞台トークもある。奥田さんは昨年 秋から、山口県下関市で最後の映画館を引き継い で支配人として経営もしており、映画や映画館へ の熱い思いを聞く。チケットは前売り1000円で啓 文社各店などで販売。 |