2008年3月8日(土)
尾道の新土産に
ゆういちのパン屋ムッシュ
 特産のいちじくでパイ
  あんぱん、ラスクに続き商品化
仕込み中の店主
売り場で
 高須町東新涯、「ゆういちのパン屋ムッシュ」
を経営する広瀬優一さん(32)は全国で生産量ト
ップの尾道特産蓬莱種いちじくを使った酵母でパ
イを開発し今月から販売を始めた。好評のいちじ
くあんぱん、きまぐれラスクに続く尾道土産第3
作目で早くも評判を呼んでいる。
 「尾道いちじくパイ」は天然の蓬莱種イチジク
を乾燥させ粉末にしてパイ生地に練り込んで焼き
上げた。20枚入り一箱1050円でしまなみ交流
館、クロスロードみつぎ、新尾道駅土産品店、ス
ーパー銭湯つかりゃんせで販売している。
 何度も試作を重ね、子どもからお年寄りまで親
しまれる、ほんのり甘く、まろやかないちじくの
風味が口内にひろがる味覚に仕立てた。
 広瀬さんの良き兄貴分でいちじく酵母を使った
商品を協働で企画開発している写真家で尾道大学
講師、村上アーカイプス、村上宏治さん、それに
ゆういちのパン屋と村上アーカイプスでアルバイ
卜し、尾道大学美術学科を卒業し平山郁夫美術館
学芸員を務めている成瀬智美さんがパッケージの
デザインを担当、商品からパッケージまですべて
メイドイン尾道で作り上げた。いちじくの仕入れ
はJA尾道市と年間契約した。
 「日本蓬莱種いちじくの酵母を使ったパイは全
国でも初めてで味にも自信があります。新しい尾
道土産として全国に発信していきたい」(広瀬さ
ん)とたちまち販売所を20か所に増やし、年間1
万2000箱の売上げを目標にしている。
 広瀬さんは高校を卒業して半年間、サラリーマ
ン生活のあとパン職人を目指して修業、21才の若
さで店を開業。当時、東新涯にはいちじく畑が多
く、朝早い仕事で午前3時頃、店に出勤途中、農
家のおじさんから「これを食べてみぃ」と貰った
新鮮ないちじくの味が忘れられず、商品化を思い
たった。
 長年、研究を重ね尾道産いちじくの酵母で「尾
道いちじくパン」、続いて「尾道きまぐれラスク」、
そして「尾道いちじくパイ」を開発した。尾道を
売り出すため商品にはいずれも尾道の冠名詞をか
ぶせて宣伝している。
 広瀬さんの夢は日本では誰も手掛けていないド
ライフルーツから酵母を作ることで現在、日清製
粉と共同でいちじくのドライ酵母の商品化に向け
て実験を繰り返し、実用化の目途も立ち夢が実現
する一歩手前まで辿りついた。「いちじくのドラ
イ酵母はトルコ産だけで尾道いちじくのドライフ
ルーツ製法ができれば大手の食品や菓子メーカー
に供給でき尾道ブランドとしてアピールすること
ができる」と言葉も弾んでいた。
 アドバイザーの村上さんは「いちじくで何かで
きないものか苦労に苦労を重ね、いちじくから酵
母を取り出すことに成功しました。そして3つ目
の商品が出来上がりました。尾道のいちじくは全
国に自慢できる一級品です」と太鼓判を押してい
た。
 パン屋の朝は早く早朝4時には店に入り、午後
2時までパン作り、一息ついて午後4時から翌日
の仕込み、夜7時に閉店したあと、毎日3kmラン
ニングしている長男、豊君(10)に自転車で伴走。
夜9時半に床に就き、未明の1時半に起き睡眠時
間は毎日4時間ほど。出勤する間の2時間半、店
の経営戦略、新商品の開発などイメージ、構想を
練っている。商売の神様、松下幸之助ぱりの生活
を送っている。
 「土曜日のまだ店が開いてない早朝、吉和中の
恩師平谷市長がパジャマ姿でやってきて、焼き立
ての一番旨いパンを買って帰られます。吉和中時
代はやんちゃでよく殴られました」と楽しそうに
語っていた。



ニュース・メニューへ戻る