2008年3月1日(土)
「造船のまち」
 尾道、因島の資料を満載
  開館2周年記念 商議所記念館と文化館で
道に出された錨
船を入れるドック
 地場産業としての歴史を伝え、昨今再び活況を
呈している″造船″をテーマにした企画展【造船
のまち尾道】が、市制施行110周年、尾道商業会議
所記念館開館2周年記念を冠して、29日(金)か
ら同記念館と、広場を挟んで隣接する街かど文化
館を会場に聞かれている。
 尾道市(所管・商工課)と尾道学研究会(天野
安治会長)による共催事業で、図書館書庫に眠る
巨大な江戸時代の『尾道町絵図』を蔵出し公開し
た、昨春の「古地図に見る尾道風景」展に続いて
の、尾道市商工課と尾道学研究会のタッグ(行政
と民間の協働)となる。
 記念館会場では、尾道の造船・舶用工業の概要
とその歩みに始まり、造船のまち尾道に関する各
種データ、弓削商船高等専門学校から出品された
羅針盤、市民から提供された大錨(いかり)を写す
鍛冶屋町、賑わう往時の海岸、本通り古写真など
が展示される。
 尾道学研究会が企画制作する文化館会場は、〜
船と港と海と〜のサプタイトルで、記念館が総論
であるのに対し、こちらは各論的な展示構成とな
っている。
 江戸時代の海運で活躍した菱垣廻船や、周辺を
往来した巡航船の模型、県立博物館や長門の造船
歴史館(倉橋町)提供になるパネル写真で、遣唐使
船から近代の巡航船まで、瀬戸内海を往来した主
な船を概観する「瀬戸内海往来船」に始まり、昭
和初期の尾道港からの航路案内、大阪商船尾道荷
客扱店の広告(大正)、日立造船因島工場の前身と
なる大阪鉄工所因島工場の絵葉書セット、尾道絵
葉書発掘で収集されたものから「絵葉書に見る尾
道の港と船」、そして前述の尾道町絵図(文政4
年・1821)から、江戸時代における船の修繕所と
思われる″船作事場″と記された部分をピックア
ップ展示している。
 椋の浦歴史民俗資料館(因島)からは、船大工の
道具に四爪(よつめ)の碇(いかり)が出品されてい
る。
 「海事人物伝」と題したコーナーでは、海事に
関わる郷土ゆかりの人物をピックアップし、港築
いた名誉市民・平山角左衛門、明治初期、尾道−
大坂間に蒸気船航路を間いた竹内隼太、島の女傑・
麻生イトと海の紳士・濱田国太郎(生名島出身)、
漂流の末にアメリカヘ渡り、黒船に乗って日本へ
帰って来たサム・パッチ(瀬戸田出身)を紹介し
ている。
 この内、一昨年に尾道へ里帰りを果たした麻生
イトの資料として、大阪鉄工所・日立造船因島工
場から贈られた、イトを讃える感謝(表彰)状2点
がその後新たに見つかり、遺品を守り伝えている
因島土生の三阪達也さんから出品されている。
 その他、尾道造船の編集制作・協力で、進水式
や船の製造工程を映像で紹介する映写コーナー、
地元造船会社の社史や古写真集、海事人物伝資料
などを取り揃えた関係図書閲覧コーナーがある。
 3月15日(土)には、記念館議場において記念講
演会形式の尾道学研究会第14回例会が開かれ、岡
山商科大学・国立弓削商船高専両名誉教授の村上
貢先生が、『黒船に乗った日本人〜サム・パッチ
の数奇な生涯〜』と題して、前述の瀬戸田ゆかり
の海事人物伝を掘り起こす。18時開演、定員50名
先着順、会員外は資料代500円(入会も同時受
付)。
 企画展の会期は、記念館が7月9日まで、文化
館が3月16日までとなっており、何れも10時から
18時までで入場無料、木曜休館。問い合わせ先は、
企画展に関しては記念館0848-20-0400、講演会は
研究会企画事務局080-5612-9108まで。
【写真】大阪鉄工所因島工場ドックと、大錨が映
える尾道鍛冶屋町の古写真(何れも市民提供)。

尾道商業会議所記念館の場所はこちらの「お」
街かど文化館はその隣



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