2008年1月12日(土)
浄土寺5ヶ年で
 『平成の大修理』始まる
  露滴庵から方丈、庫裏、唐門など
庫裏、方丈、客殿、唐門
露滴庵
 東久保町、真言宗浄土寺(小林暢善住職)で、今
年度から5ヶ年計画で行われる「平成の大修理」の
計画概要が発表された。国重要文化財の6つの建造
物を一度解体、資材などの調査を行い、再度組み上
げていく保存修理工事で、総予算は4億6000万円ほ
どを見込んでいる。         [幾野伝]

 同寺の大規模な改修工事は、1968年4月から70年
6月にかけて本堂や多宝塔など国宝の建造物を中心
に行われた「昭和の大修理」以来、約40年振りとな
る。
 今年度は、茶室「露滴庵」の雨風によって崩れて
いる茅葺き屋根を葺き替え、雨漏りで剥がれている
壁を外して塗り直す修理を行い、来年度解体修理す
る予定の「方丈」の仮屋根設置と足場を組む。「燕
庵形式」の茶室露滴庵は昭和の大修理の時に、同じ
く国重文の「阿弥陀堂」とともに全解体され屋根の
葺き替えを行っている。
 今年度の予算は3953万円。10日に入札があり施工
は葉名組、設計・監理を(財)文化財建造物保存技
術協会(東京)が請負う。
 計画では2008〜09年度「方丈」▽09〜10年度「客
殿と庫裏」▽10年度「宝庫」▽10〜11年度「唐門」
▽11年度「山門」を順次解体か半解体し、資材など
の調査研究を同時進行で行い、再度元通りに組み上
げていく。
 工事の発注者は浄土寺で、国と広島県、尾道市に
よる補助事業となり、総予算は4億6000万円ほどを
見込んでいる。
 修理に伴って重要文化財浄土寺建造物保存修理委
員会が結成されており、11月に第1回目が開かれて
露滴庵の修理箇所や工事方法が協議された。委員は
18人で構成、委員長はゆかりのある橋本宗利・広島
ホームテレビ社長がつとめ、委員長代理で三宅敬一
氏、委員には広島大学教授の三浦正幸・市文化財保
護委員らが入っている。
【浄土寺】
 聖徳太子の開基と伝えられ、嘉元4(1306)年に
奈良西大寺の律僧定証上人により伽藍が整備された。
正中2(1325)年に被災したが、尾道の富豪道蓮・
道性夫妻によって再建され、現在に至っている。建
武3(1336)年には足利尊氏が戦運挽回の祈願のた
めに2回参籠している。境内には日本を代表する中
世寺社建築の本堂(国宝)はじめ多宝塔(国宝)や
重要文化財の指定を受ける露滴庵、方丈などのほか
に石造物などもあり、境内地全域が国宝の指定を受
けている。



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