2008年1月1日(火)
 こよなく愛する故郷尾道
  尾道学文庫館長 山口真一
 こよなく愛する我が故郷「尾道」への文化活動
のきっかけは尾道北高時代。昭和48年の文化祭に
てテーマ『文学と歴史の街!【尾道】』で志賀直
哉の『清兵衛と瓢箪』に没頭、平成6年尾道に帰
郷してから同窓の加藤慈然氏(妙宣寺住職)、園
山春二氏(招き猫美術館)と出会い、平成11年3
月3日に竹原市に『かぐや姫美術館』をオープン、
『かぐや姫文庫館長』として竹取物語に関する文
献収集(現在300冊余り)を始めました。
 文献の収集では、啓文社手塚会長より日本古書
文学の老舗八木書店(神保町)をご紹介戴き、神
田古書街通いを始めました。その後、出張の合間
に北海道から九州まで全国各地の古書店を訪ね、
書籍に思い入れの深い店主の多い事に驚かされま
した。以来「中途半端にはできないぞ。」との思
いにかられながら収集して参りました。
 また、同時に故郷尾道にゆかりの作家の書籍収
集を始め、平成13年11月、志賀直哉の没後30回忌
に千光寺山腹の『出雲屋敷帆雨亭(鳥居勝当主)』
の一角をお借りして『おのみち文庫 志賀直哉コ
ーナー』を開設致しました。その際、入船裕二先
生始め、郷土の文化研究の諸先輩から「尾道にゆ
かりの作家は直哉だけでなく、林芙美子、中村憲
吉、高垣眸、横山美智子、行友李風、麻生路朗他、
一杯いるので、しっかり研究しなさい」との激励
のお言葉を頂戴致しました。
 平成16年には中村憲吉が尾道で亡くなって70年
の節目でしたので、命日の5月5日、『おのみち
文庫』所蔵の『馬鈴薯の花』を始めとする憲吉関
連書籍や斎藤茂吉らのアララギ派書籍、三次中学
時代の後輩、倉田百三(祖母の実家は尾道)の所
蔵書籍など約300点を目録にまとめてみました。


白鳥物語 表紙
【図書】林芙美子著『白鳥物語』〔昭和26年3月
10日、あかね書房発行、尾道学文庫蔵〕..【林芙
美子】は当時港町として活気のあった尾道に移り
住み、高等女学校まで多感な日々送りました。そ
の芙美子が『白鳥物語(アンデルセン童話)』の
中で「人を愛する心のあたたかい人になって下さ
い。」と結んでいることに、当時の困った人に手
を差し伸べる尾道人への感謝の気持ちも透けて見
え、とても感傷的な気持ちにさせられます。


新釈ロビンソン漂流記 表紙
【図書】麻生路朗著『新釈ロビンソン漂流記』
〔大正15年9月25日、藤谷崇文館発行、尾道学文
庫蔵〕..【麻生路朗】は尾道市十四日元町生まれ、
1924年に『川柳雑誌(尾道学文庫所蔵)』を創刊
し「川柳六大家」と呼ぱれました。その麻生氏が、
世界的三大奇書の新訳を『ロピンソンクルーソー
漫遊記』『アラビヤンナイト』『イソップの話』
奇談として書き下ろしていたことを知る人は、少
ないのではないだろうか。漫遊記では、「人の人
生の不可思議なる運命を余すところなく語る」記
述に思わずのめり込んでしまいます。

 今回ご縁がありまして『尾道学研究会 尾道学
文庫館長』を仰せつかりましたので、今後も、尾
道学研究会の皆さんと共に、生涯を通じたライフ
ワークとして尾道ゆかりの作家達や歴史を掘り起
こすことで、尾道市、尾道大学を始めとして、郷
土尾道の少しでもお役に立つことが出来れぱと願
っております。また『尾道学文庫』が【文学の街
尾道】の魅力を同好の皆様と語らうご縁の場とな
れば幸いです。

◆尾道学研究会では、こうした尾道に関わる史資
料の発掘・収集に取り組んでおります。絵葉書、
古写真、古地図、古新聞(戦前)、古文書、図書、
引き札(昔の広告チラシ)などなど、もし該当す
るものをお持ちの方がございましたら、ご一報願
えれば幸いです。手放せないものにあっては、コ
ピー又は写真撮影をさせて頂くだけで結構です。
皆様から持ち寄られました史資料は、本会が構築
を目指す『尾道学データベース・デジタル尾道遺
産アーカイプス』(史資料のデジタル保存及び検
索閲覧システム、インターネットを用いた情報の
受発信)のソフトとして、有効に利活用して参り
ます。
 皆様のご賛同とご協力を何卒宜しくお願い致し
ます。

 【お問い合わせ先】尾道学研究会企画事務局
dragon-r@bbbn. jp
FAX=0848・37・0505(本紙新聞社)。

次ページへ続く



ニュース・メニューへ戻る