2007年3月29日(木)
12年前亀田市政誕生の春に
 映画《あした》で植木等さん
◎..コメディアンで俳優の植木等さんが80歳で亡
くなった。尾道での植木さんといえば、大林宣彦
監督の映画《あした》に出演、人間味あふれるヤ
クザの親分を演じ、この作品でスポニチ主演男優
賞を受賞している。
◎..尾道新三部作の第2作目となるくあした》が
撮影・公開された1995年は、日本にとっても尾道
にとっても大きな節目となった年である。1月に
あの阪神淡路大震災、4月末には現亀田市政が誕
生、ちょうどその間を縫うように2月中旬から4
月初めにかけて社会が胎動するなか、《あした》
は撮影されたとあって、違った意味で思い出深い。
◎..「監督からいつか尾道で一緒に映画を−と声
をかけて頂いていたが、その約束を守り果たすこ
とができて嬉しい」とクランクイン前の記者会見
で語った植木さん。後に「夜の撮影が多く、自然
の摂理に逆らうなかで身体のリズムを整えるのが
大変だった」と振り返ったように、ストーリー上、
夜間の撮影がスケジュールの大半を占め、徹夜も
しぱしぱだったが、時間があれば尾道の町に出て
ご飯を食べ、特に久保新開の居酒屋「大吉」がお
気に入りだったことを思い出す。
◎..浜辺での極寒の撮影現場でも、自分の出番が
近づくとスタッフに呼ばれる前にセットに入って
スタンバイ。「そろそろ植木さんを−」との声に、
「はい、こちらに控えております」と一同を驚か
せ、『無責任』キャラクターとは正反対の真面目
さと気丈さを見せた。「長老がこうだから、若い
俳優諸氏もみんな見習って、撮影はとてもスムー
ズに行われました」と監督はベテランの姿勢を高
く評価した。ちなみにだが、大林監督は植木さん
が参加していた「クレージーキャッツ」のメンバ
ーとは、《マヌケ先生》の谷啓さん、《あした》
の安田伸さん、そして新作《転校生》の犬塚弘さ
ん、ととても繋がりが深い。
◎..撮影中、ちょうど選挙の真っ最中だった亀田
市長の選挙事務所(西則末町)を陣中見舞いで訪
れ、事務所内が華やいだこともあった。その亀田
市長も間もなく引退する。今と同じ桜の咲く時分
であった。あれから早12年、年月の経過を痛感
する。
                  [幾野伝]



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