2006年12月26日(火)
市立美術館
 和作と瓊州繋ぐ解説も
  来月にも学芸員と楽しむ企画展鑑賞会
解説の様子
 (続報)尾道市立美術館(森重彰文館長)は24
日午後、現在開催中の企画展「小林和作の世界」
の解説鑑賞会を開き、来館者の美術ファンに尾道
ゆかりの画家に親しんでもらうサービスを行った。
                  [幾野伝]

 現在開かれている「小林和作の世界」は、人生
半ばから尾道で生涯を暮らした洋画家小林和作
(1888〜1974年)と、尾道に生まれながらも各地
を転々として東京で世を去り、のちに高く評価さ
れることになった南画家楠瓊州(1892〜1956年)
にスポットを当てた作品展。和作作品は昨年末、
丹下重米さん・節子さん夫妻が生前収集していた
油彩画22点をふくむ71作品が寄贈されたコレクシ
ョンの初公開で、瓊州作品は没後50年で収蔵作品
を展示している。期間は2月4日まで。
 宇根元了学芸員が6つの展示室を回りながら解
説(=写真)。「高原八ヶ岳の山中の秋景」(19
58年)や「海辺の丘紀州串本出雲崎の海岸の景」
(1952年)などは「50代で最も充実していた時期
に描かれた作品」と語り、「アマルフィ風景」に
ついては「和作が尾道を訪れる前の1928年、欧州
旅行で描いた作品」と説明。「この頃、風景の中
に描かれている人物は奥さんがモデルだと言われ
ている」と付け加えた。
 「海辺の丘」は独立展に出品、高い評価を受け
てその年の芸術選奨文部大臣賞の受賞につながっ
たと続け、「和作の水彩画は、油彩画の下図のつ
もりだったのかも知れないが、丹下さんに託され
た作品だけに小さくてもしっかりした作品が多い」
と分析した。
 瓊州については、「尾道の人ですら知らない画
家」と前置きして、「生きていた時は全く売れず、
世を去った後にファンが増えた」と話し、「一人
暮らしで寂しさを感じさせる作品もあるが、山な
どに躍動感があるのが特徴」と、亡くなる直前に
描いていたとされる「桜(絶筆)」などを見て回
った。「同時代を生きた和作と瓊州は直接の関わ
りは無かったが、瓊州との合作があった書家の上
田桑鳩を通じて、瓊州の他界後に桑鳩と和作は交
流、西國寺に合作の襖などを残している」と結ん
だ。
 期間中の来月14日は子供鑑賞会、28日は同じく
解説鑑賞会を開く。
 展覧会には、市内の個人から新たに寄贈された
藤田嗣治「パンと少女」、熊谷守一「ねこ」の版
画2点も初紹介している。

期間中の公式ページ



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