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2006年12月23日(土) 『尾道乃記録』 30余年の活動に終止符 編者平櫛資正さん06年版最後に |
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平櫛資正(ひらぐし・よしまさ)さんが最後に なる『尾道乃記録』2006年版を発刊した。『尾道 乃記録』は、町の出来事やニュースを日ごとにピ ックアップして毎年12月に手作り編集、年明けに 発刊してきたもので、間もなく92歳になる平櫛さ んは先月体調を崩したこともあって、30年余り続 けてきた記録を今年限りで止めることにした。図 書館の郷土資料として長年、利活用されている 『尾道乃記録』はこれで途切れることになった。 [幾野伝] 東御所町に生まれ育った平櫛さんは、三井物産 広島出張所の尾道出張員を経て、尾道商工会議所 に26年間勤務、同事務局長で退職後、自宅に「尾 道の記録所」を掲げてさまざまな記録に関する自 費出版を行ってきた。 大好きな歌謡曲からその時代を顧みるために、 昭和のヒット曲と日本の出来事をまとめた『歌は 世につれ』を1975年出したのをはじめ、1977年に 『中国路の都市 尾道乃記録』の明治・大正・昭 和編を編纂、翌78年から毎年、『尾道乃記録』 の年版を作り続けてきた。その間には自らの記憶 や古い資料を頼りに分析した『山陽本線尾道駅界 隈』(1984年)や『わたしや尾道港の生まれ』 (1991年)なども発刊。長年の記録活動が評価さ れ、1989年には尾道ロータリークラプ・プレゼン ト賞を受賞している。 『尾道乃記録』は主に山陽日日新聞の紙面など をもとに、見出しと記事の内容を簡潔にまとめて 日付けごとに手書きで列記、最後となる2006年版 には合わせて270項目が記された。 毎年数十冊を自分でコピー印刷し製本、国立国 会図書館や広島県立図書館、尾道市立図書館、尾 道大学附属図書館、山陽日日新聞社編集部などに 寄贈してきた。 数年前に一度体調を崩して休刊した年もあった が、「自分の健康のためにも」と何とかこれまで 続けてきたが、11月半ばに大きく体調を崩して約 1ヶ月間入院、現在は通院しながらリハビリに励 んでおり、「毎日、新聞に目を通してメモを取っ ていくことは想像される以上に根気のいる作業で、 体のことを考えて今年で区切ることにしました」 と話している。 記録は全て平櫛さんのベン文字で丁寧に書かれ ていて、現在の画一化したパソコン文字にはない 温かみが伝わってくる。明治・大正・昭和編など は、発刊後も独自に研究と校正を重ねて、改訂版 を発刊するほどの熱心さだった。すでに十数年前 から記録の後継者を−という構想はあったが、実 現しなかった。 |