2006年12月22日(金)
役割り終えて閉館
吉井尾道白樺美術館理事長が記者会見
 「景観守り、よくやった」
  「残念だが、後事は尾道市に託す」と
記者会見の様子と美術館
 浄土寺下に高層マンションの建設計画が進めら
れたことに端を発し、歴史的景観を守る市民運動
が、土地利用のための美術館建設運動になり平成
11年春、志賀直哉ゆかりの尾道に「尾道白樺美
術館」が誕生して結実したが、同館の吉井長三理
事長は21日午前11時から記者会見を行い「役
目は終わったので、しのびないが閉館する。後は
尾道市の方で新しい役割りを見つけて活用してほ
しい」と7年余の短い歴史を閉じることを明らか
にした。
 旧尾道中学の同級生の石田克彦館長(美協会長、
文化協会長)と同席して会見に臨み、まず石田館
長から平成2年のマンション建設反対運動に始ま
り、1万人の署名。平成6年の市立美術館におけ
る「清春白樺美術館コレクション展」の開催。尾
道白樺美術館推進市民会議の設立などを経て平成
8年、市行政との一体化。11年4月29日にオ
ープンし「梅原龍三郎と白樺派」の記念展開催に
至る10年の経過を簡単に説明した。
 そして「7年余の間、年4回37回の展覧会を
開き、白樺派ゆかりの尾道に貢献してきたが、景
観を守るという最初の目的からすれば、それは達
成できたと思っている。いままで、よくやったと
いうのが正直な気持ちであり、また残念な気持ち
もある」と話した。
 吉井理事長は開館以来、たびたび足を運んでく
ださる方もおり、しのびない気持ちもあるが、役
目は終わったのかと思う。いつか将来、尾道の芸
術・文化のため、市の方で展覧会を開くとか新し
い役割りをしてもらえたらと思っている」と述べ
た後、尾道と白樺派について故小林和作画伯をは
じめ、武者小路実篤や志賀直哉本人と交わした会
話を思い出しながら、まるでこれから開館するか
のように懐かしそうに語り続けた。
 本紙記者の質問に対し吉井さんは「建物は日暮
(兵士郎氏、故人)さんに買い上げてもらって、
土地と一緒に2年前に尾道市に寄付してもらって
いる」と説明していた。
   展覧会一覧
 ◇梅原龍三郎と白樺派展▽所蔵品展−梅原龍三
郎、志賀直哉−▽東山魁夷(風景巡礼)展−若き
日の日記・書簡特別出品−▽ジョルジュ・ルオー
展▽中川一政展▽志賀直哉と白樺派▽白樺周辺の
画家たち展▽ディヴィット・ダグラス・ダンカン
展−ビカソが一枚の肖像画を描くー▽富岡鉄斎展
▽中川一政挿画展▽ハインリッヒ・フォーゲラー
展▽所蔵品展▽白樺と岸田劉生展▽岡本太郎展〜
タロウとあそぽう〜▽尾道白樺美術館コレクショ
ン展▽ベルナール・カトラン展▽バーナード・リ
ーチとその仲間たち展▽武者小路実篤展▽夏目漱
石 水彩絵はがき展▽ドイツ・オーストリアヘの
旅 東山魁夷展▽近代絵画コレクション展▽中川
一政挿画展▽愛ある眼谷川徹三コレクション展▽
東山魁夷山紫水明風景版画展▽ジョルジュ・ルオ
ー《ミセレーレ》全版画展▽梅原龍三郎と志賀直
哉▽岸田劉生と岸田麗子二人展−発見された未完
の麗子像−▽東山魁夷 唐招提寺障壁画のための
版画展▽谷崎潤一郎「源氏物語」挿絵原画展▽巨
匠たちが描いた顔・かたち展▽桜が咲いたサクラ・
さくら・桜▽色彩の画家ペルナール・カトラン展
 尾道へのオマージュ▽東山魁夷 全版画の中か
ら心の旅路展▽梅原龍三郎 志賀直哉交遊展▽開
運!なんでも鑑定団の鑑定士が選んだ巨匠展▽フ
ァクシミリによるヘルクーレス・セーヘルス版画
展▽細川護煕陶芸展。



ニュース・メニューへ戻る