2006年12月2日(土)
映画《転校生》
 民間の協力で尾道ロケ
 大林監督25年思う「仲間の優しさいつまでも」
 信州長野をメイン舞台にした大林宣彦監督(68)
の映画《転校生》シリーズ2の撮影が29日、古里
尾道の海辺で行われた。「《転校生》の原点であ
る尾道でもワンシーンを撮りたい−」という監督
の強い思いに、夫人でもある大林恭子プロデュー
サーはじめスタッフが応えて実現した。1ヶ月余
りに及んだ撮影は尾道で無事クランクアップ、名
作と称される前作の《転校生》から25年、時代を
超えて尾道映画は新しい歴史を刻み、スタートし
たと言える。           [幾野伝]

 前日の28日夕方まで長野市内で撮影、そのまま
大林監督はじめスタッフは、マイクロバスー台に
機材や荷物と一緒に乗り込んで、約8時間かけて
早朝、尾道に到着。小さなバスに揺られての尾道
入りは、奇しくも25年前と同じ体験となった。
 数時間の休憩後、早速準備に取りかかり、前作
では主人公の男の子の家として使い、当時と全く
変わらない佇まいを今に伝えている尾崎本町の鵤
邸、尾道水道沿い、尾道大橋下の突堤で合わせて
3シーンを撮影した。
 この日出演したのは大林監督が映画《理由》で
オーディションしスクリーンデビュー、その後活
躍の場を着実に広げている女優寺島咲さん(16)
で、携帯電話を手に主人公と話しをする場面が撮
影された。東京生まれの寺島さんは「人も陽射し
もとても温かく、良い町ですね」と初めての尾道
の感想を語っていた。
 夕暮れが迫るなか、尾道大橋下の突堤に寺島さ
んが佇むシーンを撮り終え、ロケの全日程を終了
した。
 新聞やテレビの取材に対して大林監督は「《転
校生》はすでに、私の心の中では区切りが付いて
いる作品で、もう一度撮ることになろうとは思っ
てもいなかった」と経過を語り、「何だか25年前
にタイムスリップした気分。町並みや聞こえてく
る音などは、当時と随分変わって時代の流れを感
じるが、太陽の光や潮の香り、古里に暮らしてい
る多くの仲間の優しさなどはいつまでも変わらな
い」と感慨深げに答えていた。
 尾道ロケは、市民有志によるロケーション支援
会を中心に尾崎本町の住民、尾道漁協、グリーン
ヒルホテル尾道、本州四国連絡高速道路、浄土寺、
住吉汽船、よしはら花店などが協力、民間の力で
盛り上げた。
 今月末から本格的な編集作業が行われ、来年夏
の劇場公開をめざす。



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