2006年11月26日(日)
建築士会尾道支部
 地域活動の現地交流を
  長江中町内会マチづくり研究会
説明する香本代表
 広島県建築士会尾道支部(元廣清志支部長、会
員約200人)のメンバーが24日午後、長江中町
内会マチづくり研究会(香本昌義代表、会員20人)
のメンバーと交流した。研究会の活動の拠点とな
っている森谷南人子の旧宅跡の現地を視察見学、
関心のある一般の市民も参加するなか、香本代表
らがこれまでの活動を紹介し、将来の夢を語った。
                 [幾野伝]

 マチづくり研究会が今年度、県建築士会の「地
域貢献活動基金助成事業」の指定(5か年継続)
を受けたことから、支部が学習会を兼ねて交流会
を企画したもので、お互いの会員と市民ら30人が
参加。元廣支部長が「地元の皆さんから直接話を
伺って、建築士会がどういう役割を果たせるのか
を考える機会にしたい」とあいさつ。
 長江1丁目の北側半分と2丁目の南側一部がエ
リアとなる、長江中町内会の会長でもある香本代
表は「どうやったら町内が良くなるのかを考えて
いる。助成事業の指定を受けたことはとても名誉
なことで、これからも活動を頑張っていきたい」
と礼を述べ、写真や地図を示しながら次のように
活動状況を説明、将来的な展望などを熱っぽく語
った(=写真上)。
 頼山陽や田能村竹田、菅茶山、平田玉蘊など文
人墨客が出入りした記録がある「ゆう翠園」、豊
臣秀吉が尾道本陣(笠岡屋)に泊まった時に献上
したお茶の水として使われたという柳泉の井戸な
ど町内に今も遺構が残る。大店の旦那衆の本宅街
だった「山城戸」(やまきど)の名は、昔千光寺
山の山頂に山城があって、ここにちょうど出入り
口の木の扉(山木戸)があったことから付けられ
たと言われている。
 大林宣彦監督の映画はこれまでに5つの作品が
町内でロケされ、大林映画とは縁の深い地区。ロ
ケ地巡りの観光客も多く、この前も朝早くから
「南人子さんの所を掃除させてほしい」と来られ
た。熱心なファンが多く、感心させられる。
 町づくりに取り組むきっかけになったのは、16
年2月に尾道市が地区住民を対象に行った斜面市
街地のアンケート。回収率が高く、関心がとても
高かった。「町なかで、店に近く、静かなこの地
区に住み続けたい」という意見が多かった。しか
し、車社会に適さない住環境など、若者が出て行
き、独居老人の増加、元気な間はいいが、体力の
限界から転居し、空き家となって、後は廃屋とな
っている。
 世帯数は16年度173軒、17年度167軒、18
年度156軒。高齢化率は長江1丁目が44%、2
丁目が39・6%。
 それではどうすれば活性化するか。長江通りか
らの枝道の整備、独居老人の居場所づくり、子育
て環境の整備などを考える。16年10月にマチづく
り研究会を発足、まず空き地の活用を最優先と考
え17年10月に森谷南人子旧宅跡地の借地契約を結
び、整備に着手した。
 旧宅跡地には半壊の建物もあり、笠岡市の森谷
家が全てを壊すところに待ったをかけて、山城戸
通り沿いに建つ小さな離れだけは残して、自分達
で補修して、「山城戸庵」と名付けた(=写真下)。
旧宅跡地の整備は全て皆さんのポランティアによ
る人海戦術。町づくりは住民と行政の協働だと思
う。
 南人子旧宅跡地の整備はあくまでも『点』で、
将来的には町内全体の『面』でとらえていく。ロ
ケ地巡りなどのミニ観光ルートの創設、道路幅の
拡幅と空き地の有効利用、「山城戸庵」のサロン
化、町を知るウォークラリー、将来を担う子供参
加の遊びイベント、星を見る会などを企画してい
きたい。10年、20年後を見越して、夢を描きなが
ら活動している。

パソコンの文字では出ないので「ゆう翠園」と表記しましたが、
「ゆう」は「邑」に「手へん」を付けた物です。



ニュース・メニューへ戻る