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2006年8月22日(火) 今週から工事開始 珍しい「待庵式」茶室の原状回復を 防地口橋本邸「爽籟軒庭園」の改修 生活排水と海の汚れで「池」は雨水に |
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旧尾道市分で今年度の最大の″目玉事業″の位 置づけがある久保二丁目防地口の橋本邸の庭園公 開に向けた改修工事が21日(月)から始まった。 市では「爽籟軒」庭園として、茶室や池を可能な 限り原状回復をはかり今年度内に完成させる。 尾道市は今年度当初予算で「橋本家庭園整備費」 9096万6000円を予算計上している。同予算の5分 の3は、橋本家から一部購入する用地費と補償費 で、工事費そのものの額は比較的小さい。 21日から工事が始まったが、工事は2段階に 分けて行われる。前段が橋本家による工事で、全 体敷地の北東角にあたる旧スバル自動車の車庫等 の解体。続いて、東側市道沿いのコンクリート塀 の撤去。この2つが9月2日ごろまでに完了し、 それと併行もしくは継続して樹田たばこ店との境 界のブロック塀が撤去されるのに伴い、尾道市が その内側に仮塀を設置する。これら第一段階の工 事が9月7日ごろまで予定されている。 続いて、第二段階の本格的な工事に入るが、入 札はこれから。まず、現在は「刑務所の塀のよう だ」と言われているコンクリート外壁は、その内 側が昔のレンガ造りになっているが、レンガの再 利用については困難との判断に立ち、外側(通行 人)からも庭園内が観られるような「和風」の塀 にしていく。 とくに、後述する池の部分については、景観に 配慮したい意向のようだ。 この外壁とは別に、北西にある母屋と庭園との 境界を橋本家の強い意向によって内塀で仕切るこ とにしている。 コンクリート外塀に近い庭園に、当時の豪商の 代表的遺構でもある「潮の干満によって満ち引き する池」が残っているが、これを原状回復する。 しかし、都市デザイン課が同時進行で雨水・下水 の配管工事を行う予定(まもなく始まる)になっ ており、暗渠の防地川と池を直結させると悪臭公 害等の原因になるとして、雨水管と直結させるこ とになっている。 従って、この由緒ある池の″機能″は失われる ことになるが、その点について文化財係では「江 戸時代と現在では、防地川や尾道水道の環境がま るで変わっていることをよく理解してほしい」と 望んでいる。 すでに雨漏れの応急対策をしている茶室につい ても原状回復をはかる。茶室の様式としては、露 滴庵に代表される燕庵様式が主流だが、橋本邸の 茶室は日本に数例しかない「待庵式」と呼ばれる もので、国宝として京・山崎に現存するものをコ ピーした貴重なものではないかと同係は話してい る。 この茶室については、庭園解放後の目玉になる もので、本来の「茶会場」として有効に活用され るべく、これから市民の協力を仰いでいくことに なる。 茶室の北側に位置する「待合」についても原状 回復をはかる。 この間、一部庭木を伐採することも有り得るが、 これらの点について市民に正しい理解を求めてい る。 なお、工事名も含め市ではこれまで「橋本家庭 園」と呼称してきたが、改修後の一般公開を機に、 「爽籟軒庭園」と名付け、出来れば「爽籟軒」ゆ かりの碑文を建立したいと話している。 |