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2006年8月11日(金) 島原重光さん 40年集めに集めた1万点 「小さな趣味の博物館」に思いを |
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東土堂町、天寧寺山門の石段から横道を入った 狭い小路に、『小さな趣味の博物館』はある。館 長の島原重光さん(66)が文字通り、極私的な趣 味で40年に亘りコレクションしている国内外の美 術品、骨董品などを展示するスペースで、収蔵品 は1万点を越えるという。館のテーマは「小さな 部屋から世界が見える」。展示物は一見、バラバ ラで何の関連性も無いように見えるが、じっくり 見学していると島原さんの一つの思いが底流にあ ることが伝わってくる。 [幾野伝] 島原さんは多趣味・多芸である。詩吟(8段) をはじめ大正琴、三味線、鳴り物(太鼓や鐘)の 師範をつとめる。それぞれ島原滄扇、琴瀬尾、藤 本秀梓扇、西条光助と雅号(吟号)を持ち、他に 備後民謡研究会会長で尾道老人大学の講師、28年 前にはその老大の創設にも尽力した。さらにバラ エティ集団・島原一座の座長、備後大道芸研究所 支部長、カラオケ教室も主宰する。そして東土堂 町内会長、長江地区老連会長と地域の役も任され ており、「数えてみると21個の肩書きがあります」。 趣味の博物館は1992年10月、自宅の一部を 改修してオープンさせた。物を集めることが好き だったという島原さんは、小学生の時にマッチ箱 を収集したのが全ての始まりで、中学生になると 全国の新聞の題字、切手、古銭に興味を持った。 三菱重工業三原製作所で事務職を40年動めるか たわら、30歳の時に集め始めたタバコは世界中の 銘柄が2000種類以上あるという。海外出張す る会社の同僚や知り合いの外国航路の船長に頼ん で買ってきてもらった。 当初は小さな物が主体だったが、ジャンルが徐 々に広が昨う気に入った物を無差別に集めている うちに、コレクション自体もだんだん大きくなっ ていったという。 人形、時計、土鈴、彫り物、刀、洋皿、銘石..。 本象牙による45層の大天球は「世界最大でしょう」 と胸を張り、五重塔を形作ったインド産の本水晶 (高さ約1m)、ヒスイによる「双龍皇帝船」 (幅約1m)、3000年前の屋久杉を使った置 物、水入りメノウなど、島原さんが国内や中国、 韓国、台湾、タイ、イタリアなどの旅行先で購入 した物や貿易商から買い求めたもので、1万点は あるという。ガラスケースで常時展示しているの はその中のごく一部。 中には人間国宝鹿児島壽蔵の紙塑人形「天鈿女 命」があり、人気テレビ番組「開運!・なんでも 鑑定団』で大きく取り上げられて、本物であると いうお墨付きを得た品もある。 自分が気に入った物ばかりというだけあって、 一品一品への思い入れと愛情は強く、それぞれに まつわる歴史や謂われなどを自分で研究もしてい る。解説する島原さんは何より嬉しそうで、目は 少年のように輝く。「すぐに2、3時間は経ちま す。夕方来た観光客と話しが盛り上がって、気付 くと夜中の1時だったこともありました。これら をただ眺めているだけでも楽しいです」。 一見それぞれは関係性が無く、バラバラに思え るが、時間を掛けて展示物を見ていると、石や木 に細工を施している美術作品が特に多いことが分 かる。「人間の技の素晴らしさ、自然の力を感じ てもらい、目で楽しんで下さい」と島原さん。 入館料は300円。留守の時間帯があるので、 見学希望者はあらかじめ電話連絡を(22-4589)へ。 |