2006年7月16日(日)
仙台から尾道に
野菜にもこだわり無農薬
 脱サラし居酒屋を開店
  漁をしながら新鮮で安い魚を提供
壱六拾
 漁をして新鮮な魚と無農薬野菜を売り物にした
居酒屋「壱六拾」が水尾町通りに開店した。店主
は脱サラし仙台から尾道に移住してきた鈴木勝三
さん(53)で「安くて新鮮な魚と安心な野菜を提
供したい」と異国の地で張り切っている。
 3年前、宮城県仙台市で土木建築資材を取り扱
う商事会社の取締役をしていた鈴木さんは手形の
決済に追われストレスの溜まる商社マンから小さ
い頃から憧れだった漁師になろうと心機一転、50
歳の節目に脱サラした。「人生1回きりで楽しく
好きなことをしようと決めました」。
 新聞やインターネットで漁師ができる候補地を
探し山口県の沖家屋島、瀬戸田町、宮窪町、岡山
県寄島と尋ね歩き、ようやく内海町の横島漁協で
漁師の手ほどきを受ける指導者に巡り会えた。住
まいは風光明媚で全国的に有名な尾道に決め、妻
幹子さん(43)と一緒に移り住んできた。
 尾道海技学院で1級船舶免許を取り、底引き網
漁船「福千代丸」(4・9トン)を購入し一本立
ち、遠く愛媛、香川の境まで漁船を走らせ操業し
ている。「冬場は渡り蟹、今はあなご、カレイ、
小エビ、シャコ、いしかべり、タコがよく獲れま
す」。
 板子一枚、地獄の世界で今年3月、先輩漁師が
海に転落し死亡。船に乗るときは必ず救命胴衣の
着用を心掛けている。
 漁獲した魚を市場に出したあと、2人家族で友
人知人に配っても捨てることが多く、もったいな
く思い居酒屋を開くことを決意。今月1日、水尾
町通りに開店した。店は親しくなった田島の仕出
し屋の協力で内装は手作り、居酒屋も初めての経
験でメニューや包丁さぱきも手ほどきを受けた。
カウンター7席と座敷に10人ほど座れるアットホ
ームな居酒屋を作った。
 鈴木さんは早い時には午前3時に起床、横島ま
で車を飛ばし漁船を繰り出し操業、獲った魚は骨
や皮、内臓をとって店に出せるよう加工する。そ
の日獲った魚を刺身にだすので新鮮さが売り物、
客の評判は上々だという。
 野菜は有機栽培にこだわり松永の農家から、わ
ざわざ仕入れている。
 故郷、仙台へのこだわりも強く米は宮城産のさ
さにしき、ひとめぼれを酒も一の蔵、浪の音、沢
の泉を用意している。仙台の観光用ポスター、ガ
イドブックを置きPRしている。
 「温暖な所だということで尾道に来てみました
が夏は暑いですね。ロケーションもよく、人も親
切で住み心地は良いです」と話していた。
 [写真は開店した壱六拾の店頭で鈴木さん夫婦]。

水尾町通りはこのあたりの南北の道。

店の位置は分からないので近くでお尋ね下さい
(短い道なので見つかると思いますが)



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