2006年7月4日(火)
土蔵を史料館に
「古きをたずねて」・・7.瀬戸田歴史民俗資料館
 江戸時代豪商 堀内家の文化財
  古代から富みをもたらした製塩
建物 塩田模型
牛の頭のような兜
 瀬戸田港のすぐ目の前にある「瀬戸田歴史民俗
資料館」=写真上=は江戸時代末期の豪商「三原
屋」堀内調右衛門が建てた土蔵で当時を偲ばせる
重要な建造物である。
 生口島に人が住みはじめたのは弥生時代で甕や
磨製石斧、土師器の高杯が出土している。弥生時
代から古墳時代にこの島に富みをもたらしたのが
当時、貴重品だった塩と言われている。
 向島同様、製塩業のための条件に恵まれていた
瀬戸田で本格的に製塩がおこなわれるようになっ
たのは江戸時代初期で入浜式塩田が開発され、最
盛期には島全域で37軒の塩田があった。当初は薪
を燃料にしていたが瀬戸内で最も早く熱効率の良
い石炭に切り替え生産量を伸ばした。昭和20年後
半、流下式に切り替えたが安い外国産に押され昭
和46年、廃業した。
 資料館には流下式塩田の模型=写真中=や砂を
ならす振り鍬や水取桶、砂を寄せる掬い込みなど
製塩用具が展示されている。
 江戸時代から「三原屋」の屋号で製塩、回船問
屋、醸造業を手広く営んでいた堀内家は多くの文
化財を所有し資料館に特別出品している。漆塗り
箪笥、手鏡、箱枕、圧巻は戦国時代から江戸時代
末期までの兜6体で戦国時代の「五十八間筋」=
写真下=と「二十四間筋」、江戸初期の「六十二
間筋」、江戸中期の「瓢箪付」と「総髪」、それ
に江戸初期の「大鍬形」とそれぞれ時代を反映し
た兜が楽しめる。
 農業は盛んで室町時代までは麦、大豆、小豆、
生糸が主力で江戸期にはいると溜め池や新開の開
発が進み芋、綿花、煙草とともに稲も栽培され二
毛作、三毛作がおこなわれるようになった。明治
から大正にかけ果樹、除虫菊が盛んとなり昭和に
入ると柑橘類が隆盛期を迎え、レモン日本1など
県内トップの農業地帯となった。資料館には万石
通し、籾おろし、代掻マクワなど明治から昭和に
かけての麦、芋、柑橘の生産収穫農具が所狭しと
並べられている。
 四面環海で魚礁にも恵まれ製塩業とともに漁業
も発達し豊富な水揚げがあった。昭和初期には東
は淡路付近、西は九州沿岸まで出漁していた。近
年は「さし網」や「1本釣り」で鯛、さわらなど
捕獲、鯛の養殖をおこなっている。手こぎの伝馬
船、錨や蛸壷、一本釣りの竿と漁具が陳列されて
いる。
 このほか機織り、糸車、明治時代の郵便ポスト
と暮らしを彩る生活用品も展示され、興味深い。
 [瀬戸田歴史民俗資料館] 瀬戸田町瀬戸田25
4−2.開館は土・日曜日で時間は午前10時から
午後4時半まで。入館料は無料。

甕=かめ

場所>



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