2006年6月28日(水)
「財間文庫」も
「古きをたずねて」・・2.おのみち歴史博物館
 政事は広島経済は尾道 豪商ゆかりの品々
  建物は市重文、旧尾道銀行本店
旧尾道銀行本店 古鏡 天野半次郎貞篤七十二歳の像
 豪商橋本家をはじめ商都尾道を語り継ぐ、ゆか
りの品々を一堂に紹介しているのが「おのみち歴
史博物館」。建物は大正12年に竣工した旧尾道
銀行本店=写真左=で市の重要文化財に指定され
ている。当時、この一帯は銀行浜と呼ぱれ、県内
初の銀行である第六十六国立銀行、尾道貯蓄銀行、
尾道諸品会社、住友銀行尾道支店が建ち並ぶ一大
金融街だった。
 この由緒ある建物に橋本家、天野家、島居家、
亀山家といった豪商を輩出し政事は広島、経済は
尾道といわしめた江戸時代から明治時代にかけて
の文化財や金融業関連の資料が豊富に展示されて
いる。
 江戸中期に描かれ「安永の屏風絵」として知ら
れている市重文「紙本著色尾道屏風」は東は浄土
寺・海龍寺から西は栗原川、南は北前船の帆が林
立する尾道水道、北は尾道三山を望み、豪商達の
庇護を背景に建立された多くの寺院が確認でき、
当時の尾道の息吹が伝わってくる。江戸期の尾道
の町並みを知るうえで貴重な資料でもある。
 江戸時代の品々は坂井家の「大鍛冶屋」、紙本
著色・八曲一隻「瀬戸内海海路図屏風」、宮原節
庵の五言絶句「打出巨船錨」、浦上春琴の「玉堂
富貴図」、八田古秀の「松鶴図」それに閏秀画家、
平田玉蘊の「軍鶏図」、「虎図」や古鏡=写真上
=や頼山陽の詩1幅など玉蘊ゆかりの品々が特別
出品されている。
 明治11年、銀行発祥にちなんだ展示物は株式会
社第六十六銀行定款、第六十六銀行一円札、尾道
銀行の営業報告書や小口当座預金通帳、県内最初
の新聞「日注雑記」と豪商の手による金融活動や
いち早く情報入手するためメディアを立ち上げて
いた様子が伺い知れる。
 天野家からは歴代当主肖像画のうち明治12年、
日本近代洋画の祖といわれる高橋由一作と伝えら
れる「天野半次郎貞篤七十二歳の像」=写真下=
が一際、人目を引いている。河東碧梧桐の書「人
間本来平等」、前島密から天野嘉四郎に出された
郵便局長拝命辞令のほか明治初年郵便創業期から
今日まで集めた切手、葉書などが公開されている。
 名誉市民小林和作画伯が昭和5年に描いた「祥
花瑞禽図」も特別展示されている。尾道郷土史家
第1人者で「財間節」で多くの聴衆の心を捉えた
財間八郎氏が7300冊の蔵書を寄贈、その一部
を展示している。AVルームでは尾道の歴史を映
像で紹介、ナレーターは財間氏で在りし日の「財
間節」が堪能できる。
 このほか中世尾道遺跡から出土した中国製の青
磁皿、天目茶碗をはじめ御調町貝ケ原遺跡から見
つかった墳墓の埋葬に関する土器で県の重文に指
定されている「特殊台形土器」を出品している。
 展示品もさることながら建物内部は当時の姿を
そのまま再現するように努めエントランスホール
は建物の特徴である丸形支柱を生かし、大正の竣
工当時の吹き抜けを再現、昔の石材を利用した床
面、銀行窓口をイメージした受け付けカウンター、
金庫も磨きあげた。建物の意匠、施設を生かした
保存利用に心がけ特色ある博物館にした。
 [おのみち歴史博物館] 久保1丁目14-1。毎週
火曜日が休館。開館時間は午前10時から午後6時
(入館は5時半まで)。入館料は15才以上200
円、20人以上の団体は160円。電話は0848・
37・6555。

場所>

おのみち映画資料館至近。両方行くならセット券がお得。



ニュース・メニューへ戻る