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2006年6月7日(水) 紆余曲折の生活橋 7年先、無料開放される尾道大橋 交通渋滞緩和で新規道路 尾道の景観、港内渡船との共存共栄 |
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新尾道市にとって大きな政治政策課題に横たわ っている、しまなみ海道渡橋料金の軽減。その一 方、島民の悲願だった生活橋尾道大橋は7年先の 平成25年4月、無料開放される。いびつな日本道 路行政に翻弄され続けてきた尾道大橋がやっと解 決の陽の目をみる。無料開放され新たな課題とし て交通渋滞の解消と尾道港内渡船との共存共栄が 挙げられている。 尾道大橋は長い道のりを経て無料開放を勝ち取 った。昭和43年、建設費15億円を元利償還すれば 無料開放するとの道路公団との約束で供用開始さ れた尾道大橋は日本道路行政の恣意的な思惑に翻 弄され、道路公団から本四公団に移管され高料金 の高速道に組み込まれそうになった。島民の必死 な筵旗運動で県も重い御輿をあげ平成11年、本四 公団から尾道大橋を買い取り元利償還を終える平 成25年4月、無料開放することを覚え書きを交わ し約束した。 無料開放されることで一番懸念されるのが交通 渋滞。現在、尾道大橋の1日当たりの利用は約2 万4000台、朝夕の交通ラッシュ時は特に向島 側で2〜3キロメートルの渋滞をおこし、無料化 で拍車がかかる。 交通渋滞解消のため計画されているのが二番潟 の尾道大橋、取り付け道路から江奥の改良中の県 道池田立花線に接続する新規市道金森江奥線で既 存の国道317号線の交通の流れを分散する。ま た交通のネックとなっている向島と向東の境、東 西橋の変則5交差をスムーズに車が流れるように 交差点として交通規制をかけるよう検討も始めて いる。 新規市道、金森江奥線は延長1・2キロメート ルで片側歩道の幅員9メートル。測量調査を終え 今年度7000万円の予算で用地買収に入ってい る。 新設道路は100メートル、1億円が相場で移 転家屋が7〜8軒あり事業費は20億円前後。因島、 瀬戸田と合併、財政が逼迫し財源の捻出に苦慮、 無料開放にあわせ金森江奥線が間に合うのかどう か危ぶむ声もあがっている。 「新市建設計画にも乗せられており、出来る限 り期待に添うよう努力したい」(小田原輝志建設 部長)と前向きな姿勢を見せている。 この金森江奥線に現在工事中の田尻江奥線、改 良予定の川尻江奥線を接続し街の中央部や島の西、 南にスムーズに車を流そうと尾道大橋から街の中 心部まで循環道路網整備計画が立てられている。 尾道大橋の無料開放は港内5航路の渡船に影響 を与えるのは必至でマイカーは自然と大橋に流れ 渡船は今でも苦しい経営に拍車が掛かる。最悪、 廃止する航路が出ればお年寄り、自転車・バイク の通勤通学といった交通弱者の足を奪いかねない。 そうしないためにも渡船をどうフォローアップし ていくか行政や関係機関の課題として浮かびあが ってくる。行き交う渡船は交通手段だけでなく尾 道を代表する景観で消してはならない風物詩でも ある。 港内渡船の1日当たりの車の利用は推計で約3 000台。尾道大橋の2万4000台に比べ1割 強で車の渡船利用は思ったほど多くなく、東西橋 交差点の交通規制、尾道大橋の料金ブースの増設 で無料開放にも対応できるのではと言う意見も片 一方にはある。 島民の悲願だった尾道大橋無料開放に伴う交通 渋滞の解消、影響を受ける渡船業者の救済措置を どう講じていくか、7年先とはいえ、その対策に 知恵を絞っていかなくてならない。 [写真は7年先、無料開放される尾道大橋]。 |