2006年5月28日(日)
麻生イト
 記念展で生誕130年祝う
  三阪さん「みなさんのお陰でここまで−」
 大正から昭和初期に掛けて因島の造船業を支え
た女性実業家、麻生イト(1876〜1956年)
の生誕130年記念事業が27日、尾道市因島土生
町で始まった。
 地元住民や因島商工会議所による世話人会(高
本豊代表)の主催。
 因島中央駐車場ホールでの記念展「イトと造船
の島」では、当時の政治家との親交や経営してい
た城山倶楽部(現ナティーク城山)、麻生旅館の
活気あふれるようす、造船所や土生の町並みなど
を伝える写真パネルを中心に、イトが使った羽織
はかまや灰皿、うちわ、手紙類など、暮らしぶり
を感じさせるゆかりの品を展示。作家今東光の原
作小説でイトが本名で登場する映画『悪名』もビ
デオで放映されている。来月4日まで。
 初日は午前10時から会場で式典があり、関係者
ら50人が出席。イトの偉業を偲んで全員で黙とう、
高本世話人代表が「現在、男女共同参画が言われ
ているが、イトさんはすでに100年前にそれを
やっていたことになる」とあいさつ。
 来賓の亀田良一市長は「私が尾道中学の5年生
の時、学徒動員で生名島に寄宿していたが、その
近所に麻生のおぱあちゃんがいらっしやった。
『悪名』の映画を見て、初めてそうだったのかと
分かった。もう60年も昔の話だが、出身地もそぱ
で、とても身近かに感じて懐かしい。私にとって
も良い機会を与えて頂いた。今日はゆっくり堪能
したい」
と述べた。
 佐藤志行市議長は「私はイトさんについてこれ
まで何も知らなかった」と正直に語り、「イトさ
んは、豪傑のなかに優しさを秘めた人だったので
はないか。地域の宝として、これからも継続的な
取り組みをして頂き、尾道の人にも知ってもらい
たい」とあいさつした。
 記念展のテープカットがあり、訪れた市民は写
真や資料を見ながら当時を懐かしんでいた。荒川
京子市議や今回の取り組みで新たに交流が生まれ
た大阪・八尾市の「今東光を語る会」代表の八尾
市役所職員、伊東健さんもわざわざ来島していた。
 続いて当時の姿で仮装したイトを中心に、獅子
舞や因島小唄の踊り手が、麻生組や麻生旅館、旧
居などゆかりの建物が残る土生商店街をパレード
した。
 長年、個人的にイトに関する資料を集めながら
広く継承を呼び掛けてきた世話人会の三阪達也さ
ん(51)は「みなさんのお陰でここまで盛り上がっ
た。尾道の艮神社に寄進した名前が刻まれている
ことなども教えてもらっており、まだまだ輪が広
がっていきそう。尾道の市街地でも記念展をやり
たい」と話していた。       [幾野伝]



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