2006年5月25日(木)
高さ制限の「素案」
「尾道市景観計画」と「景観地区」指定ヤマ場
 『市庁舎も不的確建物』
  斜面、海上、路地からの景観を重視
図は大きいので下の欄外に
 今年1月24日に立ち上げた尾道市景観計画策
定委員会(委員長=大黒雄二郎尾道大教授)の第
4回委員会が24日開かれ、尾道市景観計画と尾
道市景観地区の2つの素案が審議に付された。そ
の中で、尾道三山と尾道水道のいわゆる旧市街地
を細かくゾーンに分け、高さ制限を最低10mから
最高27mまでに規制し、しかも現在の尾道市役所
の建物(26・16m)までを「既存不適格建築物」
にするという、行政としては画期的といってよい
(現状を追認しない)案になっている。
 過去3回の委員会を踏まえ、2つの素案を提案
するにあたって、同委では休日の21日(日)に
次の行程で現地視察を行っている。景観というの
を「どういう視点で捉えているか」を知る上で重
要になる。
 千光寺山頂展望台〜天寧寺上〜文学公潮〜駅前
歩道橋〜船で駅前から向東町歌まで(海上から斜
面市街地)〜旧公営渡船向島側〜福本渡船向島側
〜海岸通りを経て浄土寺〜西国寺のコース。
 主に三山および斜面からだけの景観ではなく、
対岸の向島からの景観や海上からの景観、さらに
駅前高層マンション建設を阻止した旧市街地から
の景観さらには、尾道独特の斜面を昇り降りする
際の景観、路地空問からの景観までを意識してい
ることが分かる。
 大まかにいうと、「対岸の向島から尾道を眺め
て、三山の高さ40mのラインが望めるというのが
一定の目安(高さ制限)になる」と担当課では話
している。
 現時点では、あくまで素案だが別図のような細
かい高さ制限の地区指定をしている。一見して
「ここまで細かく分ける必要があるのか?」とい
う疑問に対し中司都市デザイン課長は「画一的
(例えば25m均一)な高さ制限を設けると、必要
ないところまで法の規制をかけることに結果なる
ので、それを避けるために細かく分けたと理解し
てほしい」と説明している。

駅前と浄土寺下を重視
  「厳しい」とみるか、どうか!?

 次に、図の「高さ制限試案に対する既存不適格
建築物」について若干説明する。
 左側(東側)の10(m)と表示がある場所が駅
前の公共用地で最も高さ制限がきついが、ここに
は高い構造物が建ちようがないという前提がある。
 その右上の15(m)部分が、駅前高層マンショ
ンの建設用地(買収済み)などで、駅に降り立っ
ての眺望を重視している。
 土堂海岸通りのしまなみ信用金庫は19・95mと
それほど高くないが、シーサイドラインの18mに
抵触している。
 市役所から北の一帯27mが最も制限が緩いが、
これは同地域は南北に″奥行き″があり、対岸か
ら観ての斜面地40mラインに支障がないというの
が理由。
 浄土寺下が駅前に次いで2番目に厳しい12mと
18mになっているが、ここはいうなれば「尾道の
景観問題の発祥の地」ともいえ、国宝の寺浄土寺
からの眺望(とその逆)をいかに重視しているか
が分かる。
 市庁舎の26・16mは同地域のシーサイドライン
の24mの高さ制限に抵触している。
 これら該当の建物は、今後改修等が為される際
には「この高さ制限」に配慮が求められる訳で、
今すぐどうこうしろという中身にはなっていない
ことが重要であるといえる。

6月20日から4会場で
 意見聴取 住民への説明で市が公聴会

 尾道市では、今回示した「素案」の通りになる
かどうかは別として、6月10日発行の「広報おの
みち」で、法に基づき市内4か所で公聴会(住民
説明会)を開くことを周知する。
 今回の景観計画は対象地域が旧尾道と向島にな
っているため、御調・因島・瀬戸田では開かれな
い。
 6月20日以降、4会場の日程は次の通り。
 20日が栗原町の総合福祉センター。22日が
市公会堂別館。23日が向島町の中央公民館。
 この3か所はいずれも平日で夜の開催となるた
め、25日(日)の昼間に市公会堂で最終を開く。
 しまなみ交流館が先約があり使用できなかった
ので公会堂にしたと説明している。

素案図


転載責任者メモ:素案(叩き台)とは叩くためにあるのですが、これがないと
        議論さえ持ち上がらないわけで、これが出てきたことは第一歩と
        いう以上に大きな前進といえるでしょう。

        私見ですが、もう少し考えるとこれが出てきたことで、まだ何も
        決定ではなくても、ビル業者が駆け込みで建てることをあきらめると
        いう効果もあるように思います。建てようとした途端に急いで採決されて
        しまったら大損害になるからです。今から買収を始めても間に合わない
        と思わせる効果が期待できます。

        すったもんだが始まるのか、あっさり決まるのか。個人的希望としては
        やはり市民参加で、守るべき景観とは何かを考える機会にして頂きたい
        気持ちもあります。早く決めなければならないという側面もありますから
        単なる先送り的な議論だけはしないで欲しいですが。

        政治ネタではありますが、観光とも大いに関係あるので転載しました。


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