山陽日日新聞ロゴ 2004年12月28日(火)
刻の鐘「驚音楼」大掃除
 千光寺でも新年迎える準備整う
鐘楼にはたきをかける
 2004年も終わりに近付き、新年を迎える準
備があちらこちらで見られる。東土堂町、真言宗
千光寺(多田義信住職)では27日午前、鐘楼
「驚音楼」の大掃除が行われた。
 鐘楼前に祭壇が設けられ、檀信徒や家族ら15
人が参加。多田住職(64)と真祥副住職(36)が般若
心経をあげて全員で焼香したあと、竹椿やはたき
を手に、鐘楼や梵鐘にた支った1年分の塵やほこ
りを払い、雑巾で丁寧に拭き清めた(=写真)。
 「音に名高い千光寺の鐘は一里聞こえて二里響
く」と謡われ、3百年も前から刻の鐘として撞き
始められ、現在も夕方6時を市民に告げている。
千光寺山(標高137m)の山頂近くにあって、
1890(明治23)年、竜宮づくりの鐘楼に建て
替えられて、玉の岩と共に尾道のシンボルとなっ
た。志賀直哉の小説「暗夜行路や歌人中村憲吉の
作品に登場、NHKテレビの「ゆく年くる年」で
もこれまで3回紹介されて、環境省選定の「日本
の音風景百選」に選ぱれている。
 除夜の鐘は、大晦日午後10時ごろから鐘を撞く
順番の整理券が配られ、11時ごろから経をあげ
て撞き始める。零時までに百打、新年になって8
打を撞く。鐘を撞いた参拝者には酉の福土鈴とみ
かんを進呈する。
 秋の台風で境内の土塀が崩れるなどの被害にあ
った多田住職は「今年は明るいニュースを上回っ
て、悪い事件や災害が多かった。来年は静かで良
い年になってほしい」と話していた。
 同寺では大晦日から三が日、約6万5千人の参
拝者が見込まれている。来年、本堂上の石鎚権現
社の奥社へ通じる3本の「行場鎖」を60数年ぶり
に復活させることにしている。



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