山陽日日新聞ロゴ 2004年4月15日(木)
時代は『西へ』
季刊誌「西の旅」創刊号で『尾道』特集
 中身より その時代認識が重要
  そんなに急いで一極集中 から「ゆっくり」と・・・
誌面
 去る1月14日の「尾道市東京事務所開所式」を
伝える本紙報道の書き出しが「谷村新司のいい日旅
立ち・西へ」だったことをご記憶の読者がどのくら
い居るであろうか・・。東海道と山陽道の横幅を基
軸として発展してきた日本は、他の多くの国家(南
北が主流)と異なり、社会の地殻変動が起きるとき
は東西幅で動くことは鎌倉以来、数々の歴史が証明
している。尾道的にみれぱ、戦後の50有余年『東
へ』の一極集中・一方通行から『西へ』の時代の逆
流の流れをどう掴み、手繰り寄せることが出来るか?。
すでに地殻変動は起こづている。
 大阪の(株)京阪神エルマガジン社からこのほど
季刊誌「西の旅」創刊号が出た(680円)。
 表紙が「二、三日、ゆっくり。尾道・倉敷・鞆の
浦」。
 鯛を呼ぶ海、広島・鞆の浦。待つまち、尾道。手
仕事を訪ねて、倉敷。
 「旅は西へ、瀬戸内へ」をキャッチフレーズにし
ている。
 シリーズ「西へ行く人」の第1回が作家、作詞家
の阿久悠。タイトルは「人生も旅も途中下車が面白
い」。
 続いて、ゲンチョを干す鞆の浦、同じく鯛づくし
と観光鯛網、それに古い町並みや雁木・常夜灯から
鞆の人宮城道雄まで、27ページを使って尾道の
″盟友″鞆の浦をゆったりと紹介している。
 「待つまち尾道」は、尾道水道と晩寄りの2枚の
写真から始まる。
 招き猫の「福が待つ」。ドビンちゃんの「犬は待
つ」。「船を待つ」、「母は待つ」、「時を待つ」、
「音を待つ」、「月を待つ」などで向島洋らんセン
ターまでを含めたスポットを美しい写真入りで紹介。
 「待ちよったんよ!」の尾道名物では、宇宙一旨
いラーメンとして浄土寺下の「フレンド」がメイン
を飾り、宮徳の「せいろ寿司」、青柳の「おこぜの
唐揚げ」、辰兵衛の「舟干しあなご」、清水食堂の
「えび粉のいなり」、からさわの「たまごあいす」、
桂馬の「春のまごころ」が登場。
 トリが上質の宿として「西山別館」が4ページに
わたって特集されている。
 尾道編は全部で16ページの構成になっている。
 続く倉敷が8ページで、その後が広島県の備後特
集をウインクの編集長らが担当。他所からの取材者
の目ではなく『ご当地の当たり前』をキーワードに
して紹介している。
 ABCの順で、Bが「晩よりさん」、Hが「花の
命は短くて・・」の林芙美子、Jで「除虫菊」。X
で中屋本舗の「鯨羊葵」、Yで尾道市営バスの「タ
渚ライン」が登場。
 広島・備後の今なら「じゃけえ新聞」では、尾道
のアートの輪「アトリエ ドラゴン」を紹介してい
る。
 イエローページ「西の駅へ行こう」では、尾道な
どへの行き方、泊まり方などを詳しく紹介。
 他に「新選組」プームでの「池田屋騒動」などが
読ませる内容。後半は逆に「東へ」の内容で、京阪
神方面をスポット紹介している。
 結びは「西の旅」が旅チャンネルで放送されます
−と、雑誌だけでなくオンエアされる新企画をアピ
ール。ここでは、鞆の浦編と尾道編の2つで、5月
1日から24日までの間で5日間、放送される予定
になっている。
 少子高齢社会という言葉があって「多子社会」と
いう言葉がなかったのと同様、「西へ」という言葉
は戦後の永い間の東京一極集中の「東へ」の反語、
反動と捉えてよい。東京への一極集中社会が「ゆっ
くりと時間をかけて崩壊(元の姿に戻っていく)し
ていく現象が西へ」であり、この大きな流れはすで
に始まっているという意味で『西の旅』創刊号を位
置づけることができよう。



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