山陽日日新聞ロゴ 2003年6月28日(土)
空き家の情報制度
1年で4軒が賃貸契約
 163人閲覧、民間不動産の呼び水に
階段の途中にある民家を改造した店舗
 尾道市が千光寺山南斜面、山手地区の「空き家情報」を提供
する制度「空き家等活用情報システム」を始めて1年が過ぎた。
これまでに160人を超える情報の閲覧はあったものの、実際
にこの制度を利用して賃貸契約したのは4人(家族)、新たな
登録物件も2軒にとどまっている。
 南斜面は歴史的・文化的な地区にも関わらず、地理的な事情
から人口の流出や高齢化が進んでいることから、市では一昨年
夏に西土堂町、東土堂町、長江一丁目の一部の家屋898戸を
対象に、空き家と土地の現状、所有者の意識について調査。う
ち119戸が空き家で、さらにその中で31戸が情報システムの
台帳掲載に賛同、昨年6月に観光文化課を窓口に情報閲覧をス
タートした。
 これまでに市内や県東部を中心に東京、大阪、福岡など大都
市や富山、石川などから合わせて163人が閲覧に訪れた。そ
の中で実際に契約まで漕ぎ着けたのは4人。昨年の6月、7月、
今年の3月、4月に一件ずつで、所在は東土堂町2軒、長江一
丁目2軒。市内からの転居が3人(うち家族含む)、市外から
は広島市からセカンドハウスとしての契約で1人。
 新たに台帳への登録は、長江一丁目の2階建て木造民家
(1930年頃建造)と三軒家町のアパートー軒が加わっただ
け。情報を閲覧しても、賃貸契約まで辿り着く割合が極めて低
いことについて、「改修や手直しが必要で、すぐに住むことが
出来る物件が少ない。賃貸料も持ち主との交渉が主で、実際に
見学して断念する場合もあるのでは」と観光文化課。「ただ、
このシステムが呼び水となって、民間の不動産を利用して斜面
地の住宅を活用する動きに繋がれば」とも話している。
 現在ところ、市では新たな空き家調査などを行う予定はなく、
情報システムについても暫くは現行のままでいくという。
 南斜面の山手では、民活で古い民家を活用した新しい店舗ス
ペースも生まれている(=写真)。



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