山陽日日新聞ロゴ 2003年3月4日(火)
ポタラ農園開園
『モノ、カネ万能の社会』からの脱却
 「教場で土の声を聞いて」
  子供と一緒に大人達が大喜びして
大人と共に作業する子どもたち坂の途中の農園
 東に尾道大橋、西に千光寺が望める絶景の高台に、20世紀
が置き去りにした生命や自然を大切にする人間教育が芽吹いた。
ここだけで終わってしまうのか、それとも全市的に拡がってい
くのか?。行政対応も含めて注目していきたい。
 浄土寺寺子屋ポタラの家(代表=小林暢善副住職)では、2
日午後2時から旧筒湯小下の空き地で、寺子屋ポタラ農園の開
園式をおこなった。
 小林代表が、ポタラとは仏教のお浄土の世界であることを改
めて子どもたちに話した後、新設の農場倉庫に男の子と一緒に
「浄土寺寺子屋ポタラ農園」の大看板を掛けた。
 続いて、同寺子屋顧問で農園提唱者の小林海暢住職が子ども
たちに次のように話しかけた。皆さんは普段、学校の教室で勉
強しているが、今日からこの畑が教場になる。そして、この教
場の先生は大西繁三さんと島田剛己さん夫妻の3人、それと
「土」が先生になってくれます。
 土が声を掛けてくれる。そして、皆さんが植えた野菜や花も
声をかけてくれる。土の声、花の声、野菜の声が沢山のことを
教えてくれるので、その声をしっかり聞いてください。
 花咲爺さんの昔話では、よいおじいさんが掘ると宝物が出て
きて、いじわるじいさんが掘ると煉瓦の山が出てきましたが、
ここからは沢山の煉瓦が出てきて、このような畑にするのに大
変なお世話をかけました。
 しかし、皆さんがここで色んなものを植えることで、これか
らここの土地から宝物がいっぱい出てくるようになる。
 今日は、ジャガイモをみんなで植えますが、次にはサツマイ
モ、そしてトウモロコシも植えたいと思っています。
 また、皆さん1人ずつが自由に植えられるように畑もつくっ
てあります。お父さん、お母さんと一緒に作業しながら、土の
声、花の声、野菜の声をしっかり聞いて下さいとこの農園にか
ける想いの一端を分かりやすく、熱く語りかけた。
 3人の指導員により、ジャガイモの植え方を教わった後、小
学1〜2年生を中心とした10人の寺子屋生が2人1組になっ
て、30cm間隔にジャガイモを植えつけた。
 途中、他の用事で遅れた子どもたちも、自らスコップなどを
手にして保護者と一緒に参加した。
 壌土寺内で教育相談の会「妙応会」を開設している菅野良三
さんら教員OBに、ポタラの家ペアレンツ(藤岡法子代表)の
保護者、それに地域のお年寄りなど子どもの数より多い大人た
ちが、目を細めて開園の様子を見守り、ジャガイモの植付けを
手伝っていた。
 小林住職は「今の時代に何が大切で必要なのか?。そのこと
をサンニチできちんと書いてもらった。こういう輪がどんどん
拡がっていけばいい」と話していた。
 寺子屋ポタラの家は昨年7月に開設され、毎月第1土曜日の
開校。本紙では、ポタラ農園の成長を今後も継続して取材、報
道していく。


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