山陽日日新聞ロゴ 2002年9月21日(土)
家並みの見本に
 70年振り商都の光浴び
  今川茶舗の再生土蔵に古看板が
白い土蔵の壁と 右下の壺型看板
 建造から130年、 明治時代の土蔵が甦る−。久保1丁目(水尾
町)、今川茶舗の土蔵の再生工事が大詰めとなり、同店に長年保
管されて来た古い木製看板も、このほど昔の屋号とともに軒先に
掲げられ、久方振りに光を浴びている(=写真)。見事に再生し
た姿は、尾道のこれからの家並みの見本として、注目されること
になりそう。
 今年初めに始まった工事は順調に進み、現在、最終盤。外壁と
内壁への漆喰塗りが、左官の手によって行われており、完成は1
か月後、10月半ばの予定。
 古い看板はケヤキ製で、縦90cm×横65cmの茶壺型。4代目
になる今川さんが先代から伝え聞いたところに依ると、商都尾道
の全盛期、明治から大正にかけて、店の軒先で活躍していたもの
で、その後、店の建て替えで取り外して、再生中の土蔵で保管し
ていた。実に70年振りに日の目を見たことになる。
 看板には、唐草模様が施してある吊り下げ用の小屋根(幅・奥
行き120cm、高さ150cm)も一緒に残っている。今川さんが
自分で埃を洗い流し、消え掛けていた『今川 製茶 玉香園』など
の墨文字も生き返った、漆喰の白壁に映えて美しさを放っている。
 「久し振りの登場で、看板も喜んでいるでしょう」と今川さん。
現場監督の橘高久幸さん(葉名組)はこれまでの工程を振り返り、
「左官作業が一番大変でした」と話している。

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