山陽日日新聞ロゴ 2002年7月16日(火)
石の旧跡ロードを探訪
 文化財協会 おのみち見て歩きに53人
見学中のメンバー
 尾道文化財協会は、今年度第1回「おのみち見て歩き」を14日、
市街地で最も早く拓けた元防地川河口付近から瑠璃山頂に至る旧
跡ロードで『石』をテーマに行った。尾道はかって良質な花崗岩
を産出、寺社の造営などに伴い久保1丁目に石屋が軒を並べ石屋
と呼ばれる町を形成、石工が技を競い、その製品は宮島など県内
はもとより北前船など全国各地に積出されており、砂田悦男・前
市教育長ら参加者53人が物言わぬ石から神仏の教えや町の歴史
を汲み取っていた。
 今回初めて見学入門講座をセット、市公会堂別館で講師の市立
美術館館長森重彰文・市文化財保護委員参与が仏像をテーマに仏
様の種類から仏像の用語や特徴など講演したあと、今は暗渠とな
った防地川にかかっていた新橋から路傍の猿の細工物、国道筋の
井戸の跡、そして浄土寺で足利尊氏の墓と伝えられる重要文化財
の宝篋印塔、尾道最古の石造物納経塔、多宝塔裏の石段に並ぶ千
体物、利生塔遺跡、名号岩から観音こみちを辿り標高178mの
山頂で休憩、美しい瀬戸の眺望を堪能し、大阪城の残り石、江戸
末期、木版画に描かれた不動岩など見ながら最後に防地川から移
築され新橋から改名された瑠璃橋を渡り下山。
 長江3丁目の主婦は「石の文化遺産の多さに驚きました。行き
届いた説明に門外漢の私にも納得でき、改めて尾道の良さを認識
しました。次回からの企画にも是非参加させていただきたい」と
話していた。
 おのみち見て歩きは、文化財の再発見を目的に昨年度からスタ
ート。初年度生活に密着した小路など3回開設。今年度は鑑賞の
手引きとなる講座とともに4回予定している。
 写真は尊氏の宝篋印塔前で。


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