山陽日日新聞ロゴ 2001年11月3日(土)
志賀直哉
 「おのみち文学の館」の真下に
  「おのみち文庫」を開設
   『旧出雲屋敷』のデビューに
裏庭での開所式おのみち文庫内部
 没後30周年の尾道ゆかりの文学者志賀直哉を顕彰する「おのみ
ち文庫・志賀直哉コーナー」が2日、三軒長屋(旧居)から東へ
100メートル、おのみち文学の館の真下にあたる旧出雲屋敷内の
「帆雨(はんう)亭」に開設された。
 午前10時から開所式がおこなわれ、森山茂尾道大学文化芸術学
部長、青木博氏、大畠図書館長、島谷前尾道白樺美術館副館長らに、
地元の松谷成人市議、日暮彰文氏、田辺耕造氏ら25人が出席。
 おのみち文庫館長の山口真一さんが「故郷を離れ、7年前に尾道
に戻ってきて、何か役に立ちたいと思っていたが、島居さんの協力
を得て、やっと実現した。今後も林芙美子、中村憲吉(諸々)から
大林監督まで、尾道ゆかりの文庫が(点在して)開設できればとい
うのが夢。今日がその第1弾です」と挨拶。
 帆雨亭の島居勝さんが「大学の後輩。本をたくさん集めて本棚に
並べているだけでは、もったいないから。随分、苦労して集めてい
ます」と紹介。
 来賓代表で市文化財保護委員の入船裕二氏が「憲吉五女の中村さ
んが、この間も(旧文学記念室の旧居)跡はどうなっているのか?
志賀家の方も気にしているようだと話していた。頑張って下さい」
と激励した。
 尾道文庫脇の裏庭では開所式だったが、周りは「紅かたばみ」が
自生して愛らしく満開。由緒ある茶室も拝見でき、おのみち文庫の
開設と同時に、『旧出雲屋敷』のデビューにもなった。
 志賀直哉の代表作「暗夜行路」の初版本をはじめ、同蔵書120冊、
研究書籍 120冊が展示してある。入場料200円で、手にとって
見ることが出来る。
 毎週金、土、日の開館。七佛めぐりの観光客らがもの珍しそうに
開所式を眺めていた。


転載責任者メモ:山陽日日新聞ではこの日のコラムでも、こうした活動の
        将来への期待が書かれていました。私も以前から古寺めぐり
        コースの小路に、こうした尾道ゆかりの小さな博物館、
        美術館の点在を期待し、新聞にそのことを載せて貰った事が
        ありますが、今回特に嬉しいのは、建物も「昔から尾道に
        あるもの」であること。バブル的発想では"施設建設ラッシュ"
        に成りかねない"観光振興"ですが、今回内容も「尾道ゆかり」、
        建物も「本物」。(おのみち文学の館もそうですね)
        私が尾道の好きな点が、正にこの「作り物でないところ」です。

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