山陽日日新聞ロゴ 2001年8月24日(金)
9月に入り尾道市内で作品を展示
 百島で帆布アート制作
  東京、岡山の美大生ら地元民と交流
帆布作品の製作作品群
 昨年4月、廃校となった尾道市の離島、百島の百島中をアトリエ
に東京や岡山の美大生15人が尾道の特産帆布を使ったオブジェの
制作がおこなわれ、総仕上げの段階をむかえている。18,19の
両日は島民との交流会が開かれ、美大生らの指導で帆布に花など描
いていた。
 尾道市から沖合い8キロ、駅前桟橋から潮風にふかれながら船で
30分。人口約800人の百島。東京芸大、多摩美大、東京造形大、
倉敷科学芸術大、岡山県立美大の5大学15人の学生が7月下旬、
百島に集まり、制作をはじめた。
 旧百島中校舎をアトリエに自炊生活をしながら、夜は校庭にテン
トを張り野宿。制作現場はオープンにして住民と交流している。
 昨夏の元筒湯小に続いて2回目の帆布展も25日、1日限りとな
った。作品は14点を制作してきた。
 多摩美大、森村さんは百島の海岸に打ち寄せる波を帆布を糸屑で
表し、「島をイメージした作品にしました」。
 武蔵野美大3年、内田さんは島の海岸で拾った流木の枝に帆布を
針金で張り、そのあと海水につけ針金を腐食、そのさびで帆布が染
まる変化を楽しめるよう工夫。
 東京造形大1年、山崎さんは木の骨組みに帆布を張った全長3m
のエイの仲間の「マンタ」、
 このほか帆布のタペストリー、2mにもおよぶクラゲ、島の海岸
で拾った貝殻を帆布に張り付けたオブジェなど若々しく、感性に富
んだ、アイデアを凝らした作品が見学者の目をひいていた。
 2回目の帆布展をプロデュースしている神奈川県、造形作家、新
里かおりさんは「帆布には多彩な利用法があり、制作者も見る方も
楽しめます」と話していた。
 18,19の両日おこなわれた住民との交流会には島民ら60人
が参加。美大生や尾道大学芸術学部学生らが手解きを受けながら帆
布を使った作品を作っていた。大久保さんは「学生さんの優しい指
導で経机に敷くものを作りました。毎日、これをみて学生さん達の
ことを思い出します」と感想を述べていた。また香川県から来た日
本テント協会理事、宮本さんは「帆布の未来に何かヒントでもあれ
ばと思い来てみました」と自らも絵筆をとり、創作活動にはげんで
いた。
 25日、帆布展を終えたのち、9月に入り本土側の尾道市内で昨
年の第1回帆布作品を含め、展示会を開いていく。
[写真、左上から(1)尾道大学の学生に手解きを受けるおばあちゃん
(2)左下、打ち寄せる波を帆布と糸くずで表現したオブジェ(3)海岸
で拾った流木に針金で帆布を張った作品(4)百島の海岸で拾った貝殻
を帆布に張り付けたオブジェ]


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