山陽日日新聞ロゴ 2000年9月7日(木)
映画資料館 今はなき偕楽座、玉榮館、太陽館
 映画館の盛栄を伝える
  昭和初期のパンフレットを展示
映画資料館のパンフレット展示 映画パンフレット
 市内の杉原さんから尾道市に寄託されていた古い映画資料の常設展
示がこのほど、久保1丁目、おのみち映画資料館で始まった。
 寄託資料は、かつての尾道の映画館が発行していたニュースパンフ
レット、スチール写真、洋画の解説書の3種類。映画館のパンフレッ
トは「偕楽座」(1876年〜1924年に焼失、翌25年には洋館改築)と
「玉榮館」(1931年〜93年)、「太陽館」(1924年〜78年)の3館それ
ぞれの宣伝部が、作品上映に合わせて編集発行していたもの18点。
 いずれも昭和のはじめ、1920〜30年代のもので、映画が大衆の娯楽
だった時代を思い起こさせる。偕楽座の1933年3月8日号は『忠臣蔵』
を「尾道映画街制覇の超特別大興行」と紹介。太陽館の1935年9月22日
号は尾道出身の行友李風原作、嵐寛寿郎主演の『月形半平太』(山本
松男監督)が片岡千恵蔵主演『情熱の不知火』と共に「近日公開の2
大雄扁」として紹介されている。
 古い印刷物は広告欄もまた、その時代の町の様子や情勢を伝えると
言われるが、映画パンフレットにも当時の尾道の商店がCMを出して
おり、これを見るだけでも楽しい。「太陽館ニュース」の1930年11月
号は、映画『無豪華』の大ヒットで、おそらく出演者が着けていた着
物が商品で流行、この売り出しを全面に、呉服店が大きな広告を出し
ている。
 スチール写真は「弥太郎笠 未来の巻」(1932年公開)や「無情の夢」
(35年公開)、新藤兼人監督が美術監督だった時代の『嬉しい夢』
(37年)など8作品の9点。洋画映画の解説書は15点ある。杉原さん
から寄託された資料は、パンフレット類352点、写真類52点あり、
今回は時代が分かっているものをピックアップして展示した。
 市内の武田和頼さん(尾道観光協会長)が尾道ロケのあった小津安
二郎監督『東京物語』(1953年)や新藤兼人監督『悲しみは女だけに』
(57年)、他に『集金旅行』(同年)、『裸足の娘』(同年)の4作品の出
演者のサイン入りブロマイド、色紙など12点を寄託していたが、同
じくこのほど展示が始まった。
 資料館では新たに「尾道文化回廊マップ」を制作し掲示、尾道の隠
れた遺産を発見して、それに書き込んでいこうという企画がある。

転載責任者メモ:大林監督に関する展示が一切ない事が残念な資料館ですが(これを知らず
        に行かれてがっかりされる方も多いとか。当然ですが)展示物は徐々に充実
        しているようで、先日開館4か月で1万人目を突破。
        11月までの企画展は「石原裕次郎ポスター展」。
        1930年代から「超特別」なんて言ってたのですね(笑)。

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