山陽日日新聞ロゴ 2000年8月8日(火)
 観光用にと尾道渡船桟橋に係留
 『呼子丸』が突然水没
   大林監督映画「あした」で重要な役割を演じた
傾いて半分水没した呼子丸
 大林宣彦監督尾道新3部作第2作目「あした」で重要な役割を演じ、
観光用にと向島町兼吉、尾道渡船桟橋に係留していた「呼子丸」が
6日夕方、突然水没。呼子丸を所有している尾道市は、7日午前現地
調査、対応を協議している。
 6日午後5時25分ごろ、尾道渡船桟橋西側に保存係留していた呼
子丸が急に傾きはじめ、5分後には水没、横倒しとなった。ロープで
係留されているため、船体は45度に傾いたままとなった。「アッと
いう間の出来事でした」(尾道渡船船員)と驚いていた。
 「あした」は平成7年、大林監督がメガホンをとり、尾道向島地方
でロケ。映画のなかで呼子丸は船の事故で死んだ人々が別れを告げる
ため帰ってくるシーンで使われ、長さが17m、幅3.6m、深さ1.5m、
重さは約30トン。撮影中、船底に30cm角の穴を数多く開け、沈めたこ
とがあった。
 観光用に保存しようと尾道市が譲り受け、あちこち打診したが最終
的に尾道渡船の桟橋に係留することが決まり、備後造船で補修工事を
施し、平成8年4月から、尾道渡船桟橋に停泊している。
 維持管理は水抜きする程度で、4年4か月が経過、突然水没した。
 現地調査したが陸の上からでは様子はわからず、アクアラング隊が
海中にもぐり原因を調査、陸に揚げ、今後、保存していくか、廃船に
するか協議していくという。
 「水没したのはおそらく、一度、船底に穴を開けた部分の強度が弱
くなり、浸水したのではないかとおもわれる」(市商工観光課)と話
していた。
 呼子丸のほか「あした」ロケに使われた「呼子港の待合室」は、兼
吉の市営バスの待合所として移築され、バスの乗客に喜ばれ、今なお
観光名所にもなっている。〜後略〜

転載責任者メモ:お盆の時季だけに「海に帰る時が来た」という風にも見えてしまう。
        しかしショッキングな写真ですね。

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